全日病ニュース

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若手経営者委員会が織田病院を見学

若手経営者委員会が織田病院を見学

 若手経営者育成事業委員会(中村康彦委員長)は去る6月4日、織田正道副会長が理事長を務める佐賀県鹿島市の社会医療法人祐愛会織田病院を訪問し、同病院の地域連携の取り組みや認知症への対応について見学し、研鑽を積んだ。全日病の若手経営者育成事業の一環として行われたもの。
 冒頭、中村委員長が「業界環境は非常に厳しいが、本日は若手病院経営者の方々に何かを持ち帰ってほしい」と挨拶して、研修会がスタートした。
 まず、織田理事長が、「治す医療から治し支える医療へ」のテーマで、地域の診療所をバックアップする連携センターの取り組みについて報告したほか、リエゾンナースや薬剤師、管理栄養士、MSW 等多職種を病棟に専従配置した退院支援体制、患者情報の一元化・共有化システム、退院後もケアを継続し地域で暮らし続けることのできる仕組み作りについて、講義した。
 次に、連携センターの織田良正医師から、メディカル・ベース・キャンプ(MBC:Medical Base Camp)について説明があった。MBC とは、入院とかかりつけ医とを切れ目なく繋ぐための在宅医療を指し、退院から症状が安定するまでの2週間程度の間、訪問診療や訪問看護・リハビリ、訪問介護、在宅栄養指導、在宅薬剤管理等を集中的に行うものである。病院内で退院支援カンファレンスの模様を見学したが、医師を中心に多職種が全員集合して、患者の症状や退院後に留意すべき点を徹底して話し合っていた。MBC の可能性としては、入院日数の短縮や再入院率の低下等を期待できるとの説明があった。
 続いて伊山明宏院長が、急性期でも適切な認知症ケアを提供する認知症ケア病棟(DCU:Dementia Care Unit)について、認知症サポート医や認知症看護認定看護師、臨床心理士等による認知症ケアチームの機能を説明した。実際のDCU は病棟内グループホームのようで、認知症の人たちが精神的に落ち着き、穏やかに過ごされており、看護師も効率良く見守ることができているとのことだった。
 織田理事長によれば、要件のクリアが非常に難しいと言われる退院支援加算1や認知症ケア加算1を、何の準備もなしに自然に算定できたという。これは、織田病院の取り組みが診療報酬を先取りしているからにほかならない。織田病院を中心とした地域医療介護連携はわが国の手本になるシステムと思われる。若手経営者にとっても大変実りある研修会になった。

 

全日病ニュース2016年9月15日号 HTML版