全日病ニュース

在宅医療の目標は都道府県と市町村が協議して設定

【在宅医療等WG】
退院支援加算算定などサービス実績を評価指標に

　厚生労働省の「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」（田中滋座長）は９月２日、第７次医療計画に向けた在宅医療と医療・介護連携に関する議論をまとめた。
　在宅医療の目標設定に関して都道府県と市町村関係者による協議の場を設置し、介護保険事業計画と整合的な目標を検討するよう求めるほか、在宅医療を評価する指標として、退院支援加算の算定など、サービスの実績に着目した指標とする考えを示した。また、医療・介護連携では、医師会や保健所が市町村を支援することを求めた。
　厚労省はこの日のワーキンググループに在宅医療に関する見直しについて、①目標設定②指標③施策の３つに分けて考えを示した。
　在宅医療の目標設定については、地域医療構想により慢性期・在宅医療の需要が変化することを踏まえ、在宅医療のニーズや目標とする提供体制（医療機関数やマンパワー）について医療計画に記載することを求めた。また、①在宅医療と介護サービスは相互に補完する関係にある②介護保険施設等の整備状況は地域により異なる─ことに鑑み、都道府県と市町村関係者による協議の場を設置し、介護保険事業計画と整合的な医療計画とする必要があるとした。
　在宅医療の指標について、現状の医療計画では、在宅療養支援診療所・病院の数などがある。しかし実際にどの程度、在宅医療を提供しているかは在宅療養支援診療所の中で差があることから、在宅医療に関連するサービスの実績に着目した指標を検討することを前回のWG で合意した。
　今回、厚労省は具体的な指標として、◇在宅患者訪問診療料、往診料を算定する医療機関数◇24時間体制の訪問看護ステーション数◇歯科訪問診療料を算定する診療所数◇在宅患者訪問薬剤管理指導料（診療報酬）、居宅療養管理指導費（介護報酬）を算定する薬局、医療機関数◇退院支援加算を算定する医療機関数─をあげた。
　これに対し、全日病副会長の猪口雄二構成員は「退院支援加算などは算定回数も把握できると思う」と述べ、サービス実績を把握することを提案した。
　施策に関しては、医療・介護連携における市町村と在宅医療提供者との連携が課題とした。地域支援事業に「在宅医療・介護連携推進事業」があるが、医療が完結する圏域が広く、市町村が把握できる範囲は限られる。このため、連携を進める上で、「地域の医療に精通した医師会等との連携や保健所の活用」により、市町村を支援する取り組みが必要とした。
　猪口構成員は「地域に密着した病院のMSW が非常に力を発揮する」と積極的な活用を提案した。