全日病ニュース

病院に必要な総合診療専門医の議論求める

【四病協】
医師偏在対策は地域の実情に応じて

　四病院団体協議会は９月28日の総合部会で、新専門医制度や医師偏在対策などをめぐって議論。終了後に会見を開いた。
　新専門医制度では、日本専門医機構が検討している総合診療専門医の研修について、病院で必要な専門医の議論が機構で行われることを求める意見が出た。また、サブスペシャリティに関して、内科・外科以外は機構の新執行部で白紙に戻して議論する必要があるとの認識で一致した。医師偏在対策は効果のある対策が必要としつつも、地域の実情を踏まえた対応を求めることとした。
　新専門医制度は、来年度の実施予定を１年延期し2018年度からの実施が決まった。総合診療専門医については、専門医機構が研修を実施するが、来年度の暫定プログラムについては日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門研修プログラムを受けることを、専門医機構の吉村博邦理事長が推奨している。これについて四病協では、機構が2018年度から実施する研修に向け、機構の「総合診療専門医に関する委員会」において、病院に必要な総合診療専門医が議論されることを求めた。
　会見で四病協の堺常雄議長（日本病院会会長）は、「2017年度の取扱いはすでに決まったことなので、（今から検討し直して）もとに戻ることはない。時間をかけて議論すれば、必ずよい総合診療専門医の仕組みになると思う」と述べた。
　基本診療領域とサブスペシャリティとの関係では、内科関連13領域と外科関連４領域のサブスペシャリティは基本診療領域との連動を認めることを決めた。しかし、他の基本診療領域のサブスペシャリティの取扱いは未定だ。
　四病協は、専門医機構が現在の執行部体制になる前に、一定の承認を与えた29領域のサブスペシャリティを追認することはせず、白紙で議論すべきであることを確認した。
地域枠の厳格化は問題
　医師偏在対策を検討している「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」に関して議論した。厚労省は医学部における医師養成の段階で、地域定着を図る対策を検討している。これに対し四病協では、一定の規制を伴う偏在対策は必要とした上で、地域定着に関しては、地域の実情を踏まえた対応が必要との認識を共有した。
　厚労省は、地元の大学を卒業した医師が、その都道府県で勤務する割合が高いことをデータで示し、地元出身の医師に限らず受け入れている現状の医学部の地域枠を厳格化することを論点として示している。また、臨床研修についても、出身大学と同じ都道府県で研修を受けた場合に、地域定着率が高いことを踏まえ、同一都道府県の大学出身者を研修病院に呼び込む対策を検討している。
　しかし、これらの対策を徹底するのは問題があるという認識で一致した。県内に必要な医師数を県内の大学出身者だけで確保しようとすれば、医学部増設が必要になることも考えられる。それは「現実的ではない」ことから、地域の特性の違いに配慮した対策が必要であるとした。