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来年度末の介護療養病床の廃止は不可能

来年度末の介護療養病床の廃止は不可能

【厚労省・療養病床特別部会】
次回会合に厚労省がたたき台示す

 厚生労働省の「社会保障審議会・療養病床の在り方等に関する特別部会」(遠藤久夫部会長)は10月5日、療養病床のあり方に関して、前回に引き続き議論を行った。介護療養病床の廃止をめぐって賛否が分かれたが、来年度末の一律の廃止は不可能との認識で一致した。また、遠藤部会長が介護療養病床の受け皿となる施設類型のたたき台を示すよう、厚労省に要請。厚労省は、来年の通常国会への法案提出を目指している。
療養病床廃止の理由がわからない
 厚労省はこれまでの意見を受け、現時点で2017年度末の廃止が規定されている介護療養病床の取扱いを論点として示した。同特別部会の初会合では、「設置期限の再延長を第一選択肢として議論すべき」との意見と「法律上、すでに廃止されていることを踏まえて、議論する必要がある」との意見が出ていた。
 委員からは、「介護療養病床で患者の拘束をゼロにする取組みを続けてきた。拘束をなくすには人員が必要。介護療養病床を廃止する理由がわからない。財政的な理由以外があるのなら、明確に示してほしい。そうでなければ反対し続ける」との意見が出た。一方で、「保険給付の根拠規定がない状態を続けるべきではない。財源の裏づけを含めて、存在の根拠をつくる必要がある」と、法的な位置づけを重視する意見もあった。
 全日病会長の西澤寬俊委員は、「法律に規定されているから廃止というだけでは納得できない、との意見が出ている。介護療養病床が果たしている機能をもう一度確認し、受け皿として必要な機能が何なのかを丁寧に議論する必要がある」と発言。また、サービス提供の中身だけでなく、受け皿ができたときに、財源を含め医療保険と介護保険の枠組みがどう整理されるのかについての議論も必要とした。
 同日の議論ではそのほか、◇新たな施設類型の基本的性格(財源を含む)◇人員配置◇施設基準◇低所得者への配慮─も論点となった。新たな施設ができた場合の経過措置や転換支援策などの議論も、厚労省は促した。
 委員からは「病院完結型ではなく、地域完結型の医療・介護を目指す観点から新たな制度を考えるべき」、「医療機能を内包した施設系サービスは『住まい』ではないので、多床室は認められるのではないか」、「医療機関と併設した居住スペースは『住まい』なので、住み続けられる居住権との関係を整理する必要がある」、「低所得者に対する配慮以外に、過疎地や有床診療所への配慮も必要」などの意見があった。
 経過措置については、「医療・介護同時改定の結果が出る2018年2月にならないと、報酬が決まらない。十分な経過措置を設ける必要がある」との指摘があった。「経営面での見通しがないと判断できない」との声は複数の委員からあり、現行の廃止期限を再延長するか、廃止した上で経過措置を設けるかの違いはあるが、来年度末に一律に廃止するのは不可能で、一定の経過措置が必要との認識は共有した。
総合確保基金の活用求める
 転換支援については、「医療介護総合確保基金を活用すべき」との意見が相次いだ。現行の療養病床からの転換以外に、新たな施設を認めることについては、「参入規制を設けることは法的に難しい。期限つきであれば、ぎりぎり認められる」との指摘があった。
 遠藤部会長は会議終了時に、「療養病床等の在り方等に関する検討会」がまとめたサービス提供類型をさらに具体化した「たたき台」を提示するよう厚労省に要請。次回、10月下旬の特別部会で議論される。

 

全日病ニュース2016年11月1日号 HTML版

 

 

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