全日病ニュース

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医療従事者の働き方でビジョンを策定

医療従事者の働き方でビジョンを策定

【厚労省・ビジョン検討会】
医師需給推計を改めて実施

 厚生労働省は10月3日、望ましい医療従事者の働き方を検討するため、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の初会合を開いた。医療を取り巻く環境が様々に変化していることを踏まえ、今後求められる医師や看護師の働き方を展望する。医師の働き方のあるべき像を描いて、新たな医師需給推計につなげることがねらい。座長には、澁谷健司東京大学大学院教授が選出された。
 検討会の開催は、「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給検討会」の中間まとめを踏まえたものだ。中間まとめでは、医師需給推計の結果に基づいて、今後の医師養成数の考え方を整理した。しかし医師需給推計に対しては、医師の働き方の実態を反映していないとの指摘や、あるべき働き方が考慮されていないことに批判が出ていた。
 このため中間まとめは、医師需給推計の不十分さを認め、医師の働き方に関する調査とあわせて、新たな医療のあり方を踏まえた医師の働き方ビジョンを策定し、その上で、改めて医師需給推計を行うと明記した。医師需給推計は、将来のどの時点で医師数が過剰になるかを推計するので、医学部入学定員の臨時増員の取扱いなどの議論に影響することになる。
 塩崎恭久厚生労働大臣は初会合の挨拶で、「医師の働き方ビジョンがなければ、将来の医師の需給はわからない。
 あるべき姿を描いた上で、需給推計を行う必要がある」と述べた。
 ただ、働き方ビジョンで検討する医療を取り巻く環境の変化として、様々な要因をあげており、医師の働き方にどんな影響を与えるかは一様ではない。
 厚労省は環境の変化として、地域医療構想を踏まえた病床機能の分化から地域包括ケアの推進、情報技術や人工知能の発達、多死社会の到来まで幅広い社会の変化をあげている。
 このため、検討課題は多岐にわたり、曖昧な印象も与える。具体的には、◇看取りニーズの拡大◇病床機能の分化、連携、療養病床の見直し◇在宅医療・介護、地域包括ケアの推進◇総合診療専門医・かかりつけ医の普及◇医療ICT 等インフラ整備やAI 等によるイノベーション◇医療従事者間、介護従事者との役割分担、業務負担の軽減、働き改革─と盛り沢山だ。
 検討会は医師の勤務状況を把握するための調査を早急に行う。検討会委員の井元清哉東大医科学研究所教授を中心に実施するとしている。

 

全日病ニュース2016年11月1日号 HTML版

 

 

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  • [1] 医師の働き方ビジョンを踏まえ医師数を推計|第872回/2016年6月1日 ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20160601/news02.html

    2016年6月1日 ... 医師の働き方ビジョンを踏まえ医師数を推計. 【厚労省・医師需給分科会が中間まとめ】
    需給推計は限られたデータによるもの. 当面の医学部定員数のほか、将来の医師需給
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  • [2] 厚労省・医師需給分科会> 一定の規制伴う医師偏在対策の議論始まる

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20161001/news08.html

    2016年10月1日 ... 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」(片峰茂座長)は
    9月16日、医師偏在対策の議論 ... 大臣の意向を受け、「新たな医療の在り方を踏まえ
    た医師の働き方ビジョン」も策定し、その上で改めて需給推計を行う。

  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年6月1日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2016/160601.pdf

    2016年6月30日 ... 討している医療従事者の需給に関する. 検討会・医師需給 .... 通り開催する方. 針を決め
    た。 なお、学会の開催に当たっては、①. 余震の状況(震度5以上の余震が予想. される
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