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オプジーボの薬価を市場拡大再算定で引下げ

オプジーボの薬価を市場拡大再算定で引下げ

【中医協・薬価部会】
最適使用推進ガイドライン素案は了承

 厚生労働省は10月5日の中医協・薬価専門部会(西村万里子部会長)に、抗がん剤のオプジーボ(小野薬品工業)を念頭に置いた高額薬剤の薬価の特例的な引下げ案を示した。年間販売額が予想を超えて拡大した場合に、薬価を下げる市場拡大再算定の考え方を適用する。委員から異論は出なかった。また、最適使用推進ガイドラインの素案とその医療保険上の取扱いを了承した。
 オプジーボは希少疾患の効能で承認され、小規模の市場を前提とした高額な薬価が設定された。しかしその後、適用や用法容量が劇的に変わり、想定外に市場規模が拡大した。具体的には、希少疾患の悪性黒色腫(メラノーマ)から、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、「根治切除不能または転移性の腎細胞癌」に広がった。さらに、現時点で多数のがん種に対する治験が行われており、承認・保険適用が今後も増えると見込まれる。
 高額薬剤への対応では、2018年度改定で薬価算定の抜本改革を行う方向にある。それとあわせ、高額薬剤の最適使用推進ガイドラインの策定と、2018年度改定を待たずに、薬価を「期中改定」することが論点となっている。
 厚労省は「期中改定」の対象となる薬剤の条件として、①効能追加などが行われてから、2018年度改定までに2年を超える期間が経過②2016年度販売額が千億円超で、市場が当初予測の10倍以上拡大─をあげた。これを満たすのはオプジーボとなる。
 その上で、再算定に関し、「できる限り既存の考え方を活用するのが合理的」と主張。市場拡大再算定の仕組みを適用すべきとの考えを示した。
 具体的には、2018年度改定での市場拡大再算定の特例にならうと、①年間販売額が1,000 〜1,500億円、市場規模が予想の1.5倍以上で最大25%引下げ②年間販売額が1,500億円超、同1.3倍以上で最大50%引下げ─となる。今回は薬価調査を行わないため、企業の仕切価格(出荷価格)ベースを用いると、年間販売額は1,260億円(小野薬品工業予測)となる。
 これを当てはめると最大25%の引下げとなるが、厚労省は今回、市場拡大再算定の「考え方」を適用するとしたのみで、25%の引下げを提案したわけではない。
医療保険上の取扱いを通知で規定
 最適使用推進ガイドラインの素案とその医療保険上の取扱いを、薬価専門部会として了承した。試行的にオプジーボとレパーサ(アステラス製薬)を対象としたガイドラインを作成する。
 さらに、保険適用上の留意事項として医療課長が通知する(留意事項通知)。
 ガイドラインの対象はオプジーボとレパーサ、その類薬。最適な使用を促すため、患者の選択基準や医師・医療機関などの要件を記載する。
 非小細胞肺がんを適用としたオプジーボの施設要件のイメージでは、がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院であることや、呼吸器やがん薬物療法の専門性を求めた。高コレステロール血症治療薬のレパーサについては、薬価収載時に中医協の要請で、すでに留意事項通知が出ている。変更があるかは今後の検討次第だ。
 これらのガイドラインの医療保険上の取扱いも決めた。実効性を高める観点から、ガイドラインを修正し、留意事項通知とする。
 支払側の委員から「ガイドラインが遵守されない場合は、審査支払機関で査定すべき」との意見が出た。診療側は「今回は特殊な例であり、他の薬剤について、一つの規則で縛るべきではない」として、医師の裁量権を強調した。また、将来的には在宅医療などでも処方ができるようガイドラインの適宜見直しが必要との意見も出た。

 

全日病ニュース2016年11月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] オプジーボの薬価引き下げで緊急の対応策|第878回/2016年9月1日 ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20160901/news01.html

    2016年9月1日 ... これらのうち、厚労省は同日の薬価専門部会で、薬価の緊急対応の案を示した。それ
    によると、対象は①2016年度改定で再算定の検討に間に合わなかったもので、2015
    年度末までに効能追加等があった薬剤②効能追加等による市場拡大が ...

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年9月1日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2016/160901.pdf

    2016年10月1日 ... オプジーボは2014年8月に「根治切 ... 薬価を. 引き下げる現行のルールには、①市場.
    拡大再算定②用法用量変化再算定③効. 能変化再算定─がある。 ... として、
    オプジーボ(小野薬品工業)の薬価を2018年度の薬価改定を待たずに引.

  • [3] 高額薬剤への対応でガイドラインを策定|第877回/2016年8月15日号 ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20160815/news01.html

    2016年8月15日 ... 薬価改定後に効能・効果が追加され、大幅に売上げが増えたオプジーボ薬価見直し
    も議論する。 ... 一方、改定時には2016年度改定で導入した「年間販売額が極めて
    大きい品目に対応する市場拡大再算定の特例の実施」や費用対効果評価 ...

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