全日病ニュース

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訪問介護・生活援助の資格要件の「緩和・廃止」を提案

訪問介護・生活援助の資格要件の「緩和・廃止」を提案

【厚労省・介護保険部会】

 社会保障審議会・介護保険部会(遠藤久夫部会長)は10月12日、「軽度者への支援のあり方」について2巡目の議論を行った。
 2015年の骨太方針は、軽度者に対する生活援助サービス・福祉用具貸与について、「給付の見直しや地域支援事業への移行を含め検討を行い、2016年末までに結論を得る」ことを求めている。
 また、10月4日の財務省・財政制度分科会は、軽度者(要介護1・2)に対する生活援助や通所介護など、地域における多様な主体の事業で代替可能なサービスは地域支援事業へ移行させるべきと提言している。
 介護予防訪問介護と介護予防通所介護は、2014年の介護保険法改正によって介護保険の指定サービスから市長村が任意に実施する地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業)へ移行することになった。移行は2015年4月から2017年3月までの間に行われる。
 このことを踏まえ厚労省は、この日の論点で、「軽度者に対する訪問介護の生活援助等給付の地域支援事業への移行に関しては、介護予防訪問介護と介護予防通所介護の移行の結果を検証した上で検討するべきではないか」とし、総合事業への移行結果の検証を先行させることを提案した。
 この提案について、自治体の委員は「各市町村は来年3月までの事業開始に追われており、新たな移行を受け入れる状況にない」と発言。他の委員も異口同音に「要支援者の移行を検証・評価することなく、生活援助等の移行を決めるべきではない」と、厚労省の方針に賛成した。
 その上で厚労省は、軽度者に対する生活援助等の給付を見直す必要を指摘し、「次回介護報酬改定において、訪問介護における生活援助は、要介護度にかかわらず、サービス提供を行う場合の人員基準の見直しを行うことも考えられる」と提起した。
 厚労省が提起した「人員基準の見直し」は、生活支援にかかわる介護福祉士とホームヘルパーという資格要件を大幅に緩和するか廃止することによって民間の家事代行サービスと実質的に同等にしていくことを意味する。その結果、生活支援の介護報酬も民間家事代行サービスの価格水準に収れんさせていくものと思われる。
 こうした提案に、多くの委員は「生活支援は軽度者の重症化を予防する役割がある」などと反対した。日本医師会常任理事の鈴木邦彦委員は、「次期改定で介護報酬が下がれば生活支援を提供する介護スタッフの給与も下がりかねない。処遇改善と逆行しないか」と疑問を表明した。

 

全日病ニュース2016年11月1日号 HTML版

 

 

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