全日病ニュース

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認知症併存のがん患者の支援プログラム確立を提言

認知症併存のがん患者の支援プログラム確立を提言

【厚労省・がん対策推進協議会】

 厚生労働省のがん対策推進協議会(門田守人会長)は9月30日、2017年からスタートする第3期がん対策推進基本計画の策定に向けてライフステージに応じたがん対策を協議。認知症高齢者や思春期・若年成人(AYA 世代)のがん対策について参考人から意見をきいた。
 国立がん研究センター先端医療開発センターの小川朝生氏は認知症を併存するがん患者に対応するため、意思決定能力の評価と認知機能障害に配慮した支援法、せん妄・疼痛・認知症の身体管理に対するプログラムを確立することが重要だと指摘した。
 小川氏は、急性期病院に求められる認知症への対応として、認知症の見落としの防止、せん妄の予防・発見・対処をあげ、「個人の臨床技術で対応するのでなく、システムを構築して、支援を提供できるようにする必要がある」と指摘。「2025年までにがん診療連携拠点病院に支援プログラムを定着させなければならない」と強調した。
 国立がん研究センター中央病院の清水千佳子氏は、15歳以上40歳未満のAYA(Adolescent and Young Adult、思春期・若年成人)世代のがん対策について提言した。AYA 世代のがん患者は、全がん患者の4%強の割合で存在するが、頻度が低いために医療機関・医療者の経験数が少ない。
 清水氏は、AYA の支援チームや専門の病棟を有するAYA 診療拠点病院を指定することを提案。「拠点病院を中心に地域の医療者教育・人材育成、治療・ケア・長期フォローアップの連携体制を整備すべき」とした。

 

全日病ニュース2016年11月1日号 HTML版