全日病ニュース

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介護療養病床等の受け皿でたたき台示す

介護療養病床等の受け皿でたたき台示す

【厚労省・療養病床特別部会】
介護療養病床は機能的に存続

 厚生労働省は10月26日の社会保障審議会・療養病床の在り方等に関する特別部会(遠藤久夫部会長)に、介護療養病床や医療療養病床25対1の受け皿となる新たな施設類型のたたき台を示した。「医療機能を内包した施設系サービス」(Ⅰ)の施設基準が示され、名称が変わったとしても、現行の介護療養病床の機能が維持される見通しとなった。
 たたき台は、「療養病床の在り方等に関する検討会」が今年1月にまとめた整理案を踏まえたもの。遠藤部会長が、整理案をさらに具体化した案を提示するよう厚労省に指示。整理案の「医療機能を内包した施設系サービス」と「医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設」について、設置根拠・利用者像・施設基準・面積の具体案が示された。
 「医療機能を内包した施設系サービス」の基本的性格は、「要介護高齢者の長期療養・生活施設」。介護保険法に位置づけ、面積は老人保健施設相当の8.0m2 /床以上。介護保険施設なので、補足給付の対象となる。「Ⅰ」と「Ⅱ」の2類型に分かれる。
 「Ⅰ」の利用者像は、介護療養病床の「療養機能強化型A・B相当」、施設基準も、介護療養病床相当とした。「Ⅱ」は「Ⅰ」より、容体が比較的安定した利用者を想定する。施設基準は、現行の老健施設相当以上。どちらの類型でも、医療機関に併設する場合は、人員配置基準の弾力化を検討するとした。
 全日病会長の西澤寬俊委員は、「Ⅰ」について、「名称は変わっても介護療養病床の機能はそのまま残るということか」と確認した。厚労省は、具体的な施設基準などは介護給付費分科会で議論するとしつつ、基本的にはそうであると認めた。ただ別の委員から、来年以降の議論に向け、「介護給付費分科会には病院団体の委員が入っていない」との懸念が示された。また、面積については、「6.4m2 /床の多床室を認めるべき」との意見が相次いだ。
 「医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設」の利用者像は、「医療の必要性は多様だが、容体は比較的安定した者」。居住スペースの設置根拠は、介護保険法・老人福祉法で、特定施設入居者生活介護の指定を受ける有料老人ホームなどを想定する。施設基準は、現行の特定施設入居者生活介護の基準とした。併設医療機関から医療を提供し、診療報酬で算定する。
 面積は、現行の有料老人ホームの基準とし、個室で13.0m2 /室以上。既存の建築物を転用する場合、個室であれば基準面積を求めない。経過措置を検討するとしており、委員からは「6.4m2 /床の多床室を認めるべき」との要望が出た。また、利用者の居住権は、現行と同等の権利を確保する考えだ。
 厚労省は来年の通常国会で法律を改正し、2018年度医療・介護同時改定を経て、2018年度からの転換を促す道筋を描いている。介護療養病床は2017年度末が設置期限であるため、2018年度以降3年程度の経過期間を設け、順次転換を求めていく。委員からは、療養病床だけでなく、一般病床や老健施設からの転換も認めるべきとの意見が出た。
 これに対し厚労省は、今回の法改正では介護療養病床等の転換のみを対象とした「時限法」ではなく、「恒久法」を制定するとの考えを示した。このため、経過措置の間は参入規制を設け、介護療養病床と医療療養病床25対1が対象になるとしても、その後は参入規制が取り除かれ、一般病床などの転換も可能になるとみられる。

 

全日病ニュース2016年11月15日号 HTML版

 

 

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