全日病ニュース
かかりつけ医以外受診の定額負担導入に反対続出
かかりつけ医以外受診の定額負担導入に反対続出
【厚労省・医療保険部会】
入院時居住費の患者負担は介護保険との整合性とる方向
社会保障審議会・医療保険部会(遠藤久夫部会長)は、10月12日と26日に会合を開き、骨太方針や経済・財政再生計画で求められている医療保険制度の見直しをめぐって議論した。
10月12日の部会では、入院時居住費の患者負担の見直しについて議論した。骨太方針2015および経済・財政再生計画改革工程表は「医療・介護を通じた居住に係る費用負担の公平化」と明記し、2016年末までの結論を求めている。
入院時居住費の負担については、介護保険施設における食費・居住費を給付外とする介護保険法改正(2005年10月施行)を受け、2006年10月より、療養病床に入院する65歳以上で医療区分Ⅰの患者は、窓口負担とは別に、食費と居住費(光熱水費相当)の一定部分(標準負担額)を自己負担とする入院時生活療養費制度が導入されている。この制度に関して厚労省は、標準負担額の居住費を現在の1日320円から介護保険と同様の370円に引き上げることを提案。あわせて、①現在負担を求めていない医療区分Ⅱ・Ⅲの居住費をどう考えるか、② 65歳未満の入院患者をどう考えるか、③一般病床や精神病床の入院患者についてどう考えるか─を論点にあげて議論を求めた。
これに対し、多くの委員が「介護保険との整合性を図る」ことに賛成した。
日本商工会議所や健保連の委員は医療区分Ⅱ・Ⅲの患者にも居住費負担を求めるべきとしたが、連合および医療系の委員は異論を唱えた。
かかりつけ医の定義が不明確
10月26日の医療保険部会は、(1)かかりつけ医の普及の観点からの外来時の定額負担の導入、(2)スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険給付率の引下げについて議論した。厚労省は( 1)について、①定率負担に加えて定額負担を求めることの是非、 ②定額負担を求めるケースの範囲などの論点をあげた。
2016年度診療報酬改定で、「かかりつけ医の普及」を目指して、紹介状なしに大病院を受診した場合に定額を徴収する制度が導入されている。今回の案は「かかりつけ医以外を受診した場合に定率負担に加えて定額負担を求める」もので、例えば、「かかりつけ医とはなにを指すのか、老人患者等は診療科ごとに必要となるのか、かかりつけ医をもたない若い層はどうするのか」などの疑問が生じる。
この日の議論でも、多くの委員が「かかりつけ医の定義が不明確で、総合診療医の見通しが立たない現在、時期尚早ではないか」などの疑問を表明した。
さらに、「定率負担に加えて定額負担を求める」という点が「将来にわたって7割の給付を維持する」とした2002年健保法改正法附則と矛盾することから、ほとんどの委員が否定的な意見を述べた。
スイッチOTC の給付率引下げに対しても、「より高額な医薬品へのシフトが生じ、スイッチ化にブレーキがかかる」「7割給付の原則に反する」などの理由から多くの委員が反対を表明した。
全日病ニュース2016年11月15日号 HTML版
[1] 高齢者の患者負担見直しに賛否。外来定額負担には戸惑いと慎重論が大勢
http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20151201/news13.html
2015年12月1日 ... 11月20日の社保審医療保険部会(写真)に、事務局(厚労省保険局総務課)は「経済
財政再生計画」の工程化にかかわる課題の ... 11年に医療保険部会で取り上げられて
否定された受診時定額負担の事実上の再現だが、医療費抑制という視点ではなく、「
かかりつけ医の普及」という視点が ... 保険者以外の委員では、医療費抑制のために
患者の負担を引き上げるという方向性は理解するものの、具体的な制度改正 ...[2] 居住費用負担の適用拡大や受診時定額負担導入に「慎重検討」を求める ...
http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20151201/news02.html
2015年12月1日 ... 経済財政諮問会議に付設された「経済・財政一体改革推進委員会」の社会保障WGの
11月16日の会合で、厚労省は、社会 ... その中で、①入院時の居住費用(光熱水費
相当)負担を医療区分2・3患者へ、さらには難病等患者を除く全病床へと拡大すべき、
②かかりつけ医以外を外来受診した患者に ... 一方、厚労省は社保審医療保険部会を
中心に、工程表策定に向けた課題への対応方針をめぐる検討と議論を進めて ...
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