全日病ニュース
地域医療連携推進法人を視野に病院経営を展望
続報・全日本病院学会 in 熊本
地域医療連携推進法人を視野に病院経営を展望
【医業経営・税制委員会企画】
地域医療連携推進法人の来年度の施行に向けて準備が進められているが、すでに複数の医療機関が設立に向けて動いており、その動向が注目される。医業経営・税制委員会(中村康彦委員長)の企画は、地域医療連携推進法人の設立をテーマにとりあげた。厚生労働省医政局医療経営支援課の佐藤美幸課長が、推進法人の概要と施行に向けた準備状況を説明したほか、恵寿総合病院の神野正博理事長(全日病副会長)と金田病院の金田道弘理事長が、推進法人への参加をにらんだ病院の経営戦略を語った。
地域医療連携推進法人は、地域医療構想を達成するための選択肢の一つ。
医療法人など複数の非営利法人が、社員として参加し、統一的な医療連携推進方針のもと、ヒト・モノ・カネの一体的な運営を行う仕組み。佐藤課長は、「どの分野で連携するかは各推進法人に任されており、例えば電子カルテの運用だけの連携も考えられる」と述べた。
法人化のメリットの一つに、「病床融通」がある。病床過剰地域では、地域全体の病床数が増加しない場合でも、病床融通が認められないが、推進法人の参加法人間では、都道府県知事に認められれば病床融通が可能だ。また、推進法人から参加法人へ資金貸付ができる。そのほか、参加法人同士の患者紹介・逆紹介、検査、転院などでのスムーズな連携や医薬品や医療機器の共同購入、医師の配置などの効果も期待できる。
佐藤課長は、「制度ができる以上、それを有効に活用してほしい。『競争』ではなく、『協調』の手段として、お互いがウィン・ウィンの関係になることを期待する」と述べた。神野理事長は、米国のIHN(統合ヘルスケアネットワーク)を参考に、今後の病院の経営戦略として、「統合」がキーワードになることを強調した。
統合の範囲は、医療・介護だけでなく、介護予防や生活支援に関連する周辺産業も含まれる。健康づくりまでひろげれば、医療保険者も関わる。「様々なサービスを提供する主体を「二次医療圏単位で統合する一つの手段として、地域医療連携推進法人がある」と、神野理事長は展望した。
魅力的な選択肢だが、現状で問題点もある。一つは、定款で別段の定めが可能だが、議決権が1法人1票であること。組織のガバナンスを働かせるには、指揮命令系統が明確である必要がある。しかし権限が同じでは、主導的な法人が連携に慎重になる可能性がある。神野理事長は「メリットがどれだけ出せるかを検討している」と述べた。
金田理事長は、人口減少社会という脅威に対し、「医療機関同士が協力して生き残り策を考えなければならない」と強調。「田舎の中小病院の実情」として、「医師不足・看護師不足・患者不足が病床過剰を招き、病床利用率が低下。経営危機が現実のものとなっている」と語った。
これまで「競争」してきた近隣の病院と「協調」に向けた取組みを始め、ついに昨年、連携して協力する協定を結んだ。金田理事長はその経緯を踏まえ、地域医療連携推進法人の設立を視野に入れて検討を進めていることを報告した。
全日病ニュース2016年11月15日号 HTML版
[1] 第756回/2011年6月1日号
http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2011/110601.pdf
過疎地域の多くでは病床を3区分に. 分化することが ... 5月18日の中医協総会で、診療
側の鈴木委員(日医常任理事)は、2011年医療経済実. 態調査(実調)の ..... な連携を
推進する観点から、その専門的な能力を公的に認証し、医師や患者. が容易に ..... 渉し
て色々と融通を図ってもらったよ. うです。 ...... 無料職業紹介事業. 医療国際化事業
検討委員会. 公益法人改革対応. 委員長. 猪口正孝. 織田正道. 中村康彦. 猪口雄二.
木下 毅.
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。