全日病ニュース

全日病ニュース

第3期がん対策推進基本計画の目標設定をめぐり議論

第3期がん対策推進基本計画の目標設定をめぐり議論

【厚労省・がん対策推進協議会】

 厚生労働省のがん対策推進協議会(門田守人会長)は10月26日、第3期のがん対策推進基本計画の目標設定について協議した。第3期計画は、2017~ 2021年の5年間を計画期間として、来年6月の閣議決定を目指している。
 第2期のがん対策推進基本計画は、75歳未満のがんの年齢調整死亡率を2005年の92.4%から20%減少させることを全体目標としているが、2013年の死亡率は80.1%で、目標達成は困難な状況となっている。参考人として意見を述べた国立がん研究センターがん対策情報センターの若尾文彦センター長は、目標設定の考え方について発言。がん全体の目標設定では不十分との見方を示し、がん種別ごとの罹患率、3年または5年生存率を評価するとともに、喫煙率や検診の受診率などで達成状況を評価することを提案した。
 また、米国では、部位別死亡率や罹患率をはじめ多彩な目標値を設定していることや、イギリスでは生存率をはじめとする各論的な目標値を設定していることを紹介した。
 若尾氏は、2016年に全国がん登録制度がスタートし、データ集計が迅速化したことから、第3期計画では、がん種別ごとの生存率を評価できる可能性があると指摘した。
 そのほか、患者体験の調査を行うことを提案した。患者体験調査は、がんの診断・治療、その後の体験を患者に聞くもので、がん患者の治療満足度の向上に活かすことがねらいだ。目標設定に関する若尾氏の提案に対し、東京大学放射線科の中川恵一委員は「がん種別ごとに対策は異なるので、がん種ごとに目標を設定すべき」と賛成した。

 

全日病ニュース2016年11月15日号 HTML版