全日病ニュース

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がんの相談支援や予防体制を議論

がんの相談支援や予防体制を議論

【厚労省・がん対策推進協議会】

 厚生労働省のがん対策推進協議会(門田守人会長)は11月24日、がん対策推進基本計画の見直しについて協議し、がんの相談体制や予防体制を検討した。次期基本計画は、2017年から第3期が始まる。
 がんに関する相談支援と情報提供については、京都府の松村淳子委員が京都府がん相談支援センターの活動を紹介した。
 京都府は2013年3月に、がん診療拠点・連携病院の窓口とは別に、総合相談窓口を設置。病院に相談しにくい医療従事者への不満やセカンドオピニオン、経済的な問題や生活面の相談に当たっている。
 相談支援センター設置の意義として、病院以外の第三者的な立場を活かして、がん患者の幅広い課題に総合的に相談できることをあげた。病院外に設置されているため、気軽に相談に立ち寄れる。
 病院のがん相談支援センターでは、個別に対応しにくい案件や新規の課題に対して、行政が主導して解決が容易になるという利点もある。治療以外の就労支援、収入、保険の課題を、適切な連携先につなげられるとした。
 静岡がんセンターの山口建委員は、「拠点病院の相談支援センターでは、病院全体が協力しないと的確な体制がとれない」と指摘した。
 がんの予防については、国立がん研究センター・社会と健康研究センターの津金昌一郎参考人が、予防対策の課題について報告した。
 日本人のがん予防では、たばこ対策と肝炎ウイルスなどの感染対策が最優先課題で、アルコール対策が続くと指摘。欧米人と異なり、過体重・肥満や食事が寄与する割合は小さいと説明した。
 一方、がんが死因にならない過剰診断の問題も紹介した。米国では、前立腺がんのPSA(前立腺特異抗原)検査を行わないことを推奨している。死亡率が減少しても不利益が大きいためだ。
 津金氏は、「がんリスクの高い人のがん予防と検診を徹底させ、リスクが低い人の検診の頻度を下げるという見直しが必要だ」と指摘した。

 

全日病ニュース2016年12月15日号 HTML版