全日病ニュース

より良い研修病院を目指し、臨床研修指導医講習会を開催

平成28年度臨床研修指導医講習会　チーフタスクフォース　江村　正　

　全日病・日本医療法人協会の「臨床研修指導医講習会」は、会員病院の医師および管理者に、今まで以上に教育に目を向けてもらうことをコンセプトに2007年度から開始された。年１回、11月に行っており、昨年11月には第12回を開催し（2008−2009年度は年２回開催）、全国から40名が参加した。
　前年同様に「より良い研修病院になるために−問題点を挙げる−」「カリキュラム作成」「より良い研修病院になるために−問題点の解決策を考える−」の３つのワークショップを柱とし、その前後に、「医師臨床研修制度の理念と概要（到達目標と修了基準を含む）」「臨床研修と地域医療」「今の研修医は卒前教育で何を学んでいるか」「情報交換会」「特別講演」「コーチング」「研修医のメンタル・ヘルス」を入れ、有機的に結びつくように工夫した。
　「医師臨床研修制度の理念と概要」は、このテーマに関して最も詳しい厚生労働省医政局医事課長の武井貞治先生にお願いした。初期研修を中心に、専門医制度のことも含め、医師の教育に関して網羅的な話が聞けた。質疑応答にも十分な時間を割いてもらえた。
　引き続き、「臨床研修と地域医療」と題して、比較的規模の小さい会員病院の事例を紹介した。その次に、「より良い研修病院になるために−問題点を挙げる−」の討論を行った。今回は、ワールド・カフェ方式で自分のグループ以外に移動し、情報を共有するという方法を用いた。発表をせずに、多くの情報を十分共有できたと思われた。
　医学部卒前教育の紹介は、PBL、TBL、OSCE、CBT といった医学教育用語の理解を深めてもらい、すでに医学生ではない研修医に何を修得させるかということを考えてもらうヒントとしてもらう目的で取り入れた。
　カリキュラム作成に関しては、今回も、目標、方略、評価作成まで作業が一通り終わってから、「My ミニカリキュラム作成」と題して、明日から自分の職場で使える、SBO、方略、評価を作成してもらった。各グループから、すぐれたカリキュラムを選び、それを報告書に載せることとした。
　特別講演は、「研修医が研修病院に求めること」と題し、現在の医師臨床研修制度で研修を修了した３名の若手医師より、講演してもらった。質疑応答に十分な時間をかけることができたので、非常に有用だったようである。
　来年度は、もう少し時間を延ばす予定である。
　コーチングを用いた指導スキルに関しては、タスク・フォースのロールプレイを含めた講演とした。
　研修医のメンタル・ヘルスについても説明を行った。
　参加者は皆、非常に熱心な討論を行った。
　以前に比べ、グループ作業が早く、かつ、問題点が深く掘り下げられ、対応策等も十分練られていた。
　全日病・医法協の「臨床研修指導医講習会」は、今年も11月に開催する（11−12日の予定）。2007年度から開始し、ちょうど10年が経過した（回数は12回）。
　少し内容を見直し、より会員病院のニーズにあった研修会にバージョン・アップしていくつもりである。是非周りの人への参加を勧めてほしい。