全日病ニュース

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急性期から回復期・維持期の速やかな連携求める

急性期から回復期・維持期の速やかな連携求める

【厚労省・脳卒中WG】
ADL改善目標や再発防止が課題

 厚生労働省の「脳卒中に係るワーキンググループ」(小川彰座長)は2月3日、脳卒中診療における急性期と回復期・維持期の連携体制について議論したほか、熊本市民病院の橋本洋一郎診療部長からヒアリングした。厚労省は、回復期や維持期でADL 改善の目標を設定することや再発予防の治療を継続できる体制を課題にあげた。同WGは6月に検討結果をまとめ、「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」に報告し、2018年度からの医療計画に反映させる考えだ。
 厚労省は、脳卒中の回復期・維持期の現状についてADL が低下する背景を説明。脳卒中の急性期治療終了後の患者像は様々で、回復期リハビリテーション病棟の在院日数にばらつきがみられる。また、回復期リハ病棟の整備状況やリハ従事者の分布にも、地域格差がある。回復期リハの開始時期が早いほど、ADL の改善度は良好で、在宅復帰率は高くなる。
 また、脳卒中の再発率は、初回発作後1年間で約12%、5年間で約35%であることを報告した。一方、脳卒中の約7割を占める脳梗塞では、抗血小板薬を内服すると1年再発率は約4%に下がるが、治療継続の割合は1年後で約5割というデータがある。脳卒中の再発や合併症の発症は、再入院の原因となる。
 厚労省はこれらを踏まえ、◇患者の状態に応じた目標ADL とリハビリテーションプログラムの設定◇再発予防目的の治療を継続できる体制◇かかりつけ医と脳卒中診療や回復期リハを主に担当する医師等が連携し、維持期の経過を診る体制◇急性期から回復期・維持期への速やかな移行◇再発や合併症等の病状の増悪で適切に急性期と連携できる体制─を論点にあげた。
 全日病副会長の美原盤委員は、「回復期リハ病棟に求められる機能は在宅復帰であり、リハビリに乗らない重症患者を回復期リハ病棟の適応とするのは問題がある。これからの高齢者社会を鑑みれば、脳卒中患者に対する連携を、急性期、回復期、維持期の病院という一つの流れでは解決が困難である」と強調した。また、「脳卒中患者は重症度によって改善に要する日数は異なり、算定上限を180日とすることは不適切と思われる」と主張。回復期リハ病棟の算定要件の再検討が求められるとした。

 

全日病ニュース2017年2月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 脳卒中の医療体制構築に係る指針

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2007/070731_3.pdf

    月図卒中を発症した場合、 まず急性期医療において内科的 ・ 外科的治療が行われ、
    同時に. 機能回復のためのリハビリテーションが開始される。 リハビリテーションを ...
    脳卒中発症直後の医療 (急性期の医療) は、 脳梗塞丶 脳出血及びく も膜下出血によっ
    . て異なるが、 ..... 回復期リハビリテーション病棟を有する病院. (5) 日常生活への復帰
    及び く日常生活の) 糸雀持のためのリハビリテーションを実施す. る機能 【維持期】. の
    目標.

  • [2] 慢性期の医療について(PDF)

    http://www.ajha.or.jp/guide/pdf/070911.pdf

    回復期リハ. ビリテーシ. ョン病院. 療養型病院. 亜急性期病床. 【医療療養】. 【介護療養】
    . 亜急性期医療. 慢性期医療. 慢性期医療を提供する病院は、病気の治療をし、
    リハビリテーションに ... 1984 年(昭和 59 年)「特例許可老人病棟の導入」~介護職員
    の配置.

  • [3] 平成28年度診療報酬改定 疑義照会について(公益社団法人 全日本病院

    http://www.ajha.or.jp/topics/jimukyoku/pdf/160502_2.pdf

    2016年5月2日 ... 療養病床の回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア. 病棟でも算定可能か. 可能.
    10. 特殊疾患病棟入院料. 注4について、病因が脳卒中の後遺症ではない重度の意識
    ... 状態に限る)」の留意点に「なお、肺炎等急性増悪により点.

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