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類似薬効比較方式と外国平均価格調整を議論

類似薬効比較方式と外国平均価格調整を議論

【中医協・薬価専門部会】
外国平均価格調整で米国薬価の扱いに議論集中

 中医協の薬価専門部会(西村万里子部会長)は2月22日、薬価制度の抜本改革に向けて、類似薬効比較方式と外国平均価格調整をめぐって議論した。
 類似薬効比較方式では、参照薬価とする類似薬の薬価が高いと、それに引きずられて高薬価になることを問題視する意見が出た。外国平均価格調整については、米国の薬価が高額であることから、米国を参照国から外すことに議論が集中した。類似薬効比較方式は、新薬の薬価を決める場合に、効能・効果などで類似性が高い医薬品を比較薬とし、1日薬価が同一となるよう算定する方式である。最近の高額薬剤をめぐる議論では、類似薬効比較方式について、化学合成品や抗体医薬品など製造コストが異なる医薬品がある中で、適切な比較が行われていないとの指摘がある。
 例えば、C型肝炎治療薬のソバルディは化学合成品だが、抗体医薬品のペグイントロン皮下注用を比較薬の1つとした。抗体医薬品は、一般に製造コストが大きく、薬価が高くなりがちで、このためソバルディの薬価が高くなった。ただ、この場合は、優れた効能・効果が認められたことによる補正加算等の影響も大きい。
 これらを踏まえ診療側の委員は、類似薬の選定や補正加算等も含め、高薬価の類似薬と1日薬価を合わせる仕組みに問題があるとした。ソバルディの配合錠であるハーボニーについては、「ハーボニーは、ソバルディよりも対象患者が大幅に増えた。ソバルディを類似薬として、薬価が高くなったのは問題」と主張した。
 これに対し厚生労働省は、「薬の価値が比較薬と同等または同等以上の場合に、補正加算を含め、1日薬価を合わせる仕組みには一定の合理性がある」と答えた。
 外国平均価格調整については、前回と同じく、他の比較国と比べ、薬価が際立って高い米国の薬価を外すことの是非に議論が集中した。公定価格ではない米国の薬価を参照するのは不合理との意見があったほか、「トランプ政権の米国が2国間貿易でどのような交渉をするかを考えて、対応する必要がある」との意見が出た。製薬企業団体の専門委員は、「トランプ政権であるかはともかくとして、米国は世界最大の医薬品開発国であり、世界最大の消費地であり、無視することはあり得ない」と述べた。
改定の影響で後発品のシェア向上
 厚労省は同日の中医協総会に、2016年度診療報酬改定の結果検証特別調査のうち、後発医薬品の使用促進策の影響に関する調査結果を示した。政府は後発医薬品の数量シェアを、今年半ばに70%にすることを目指している。2016年8月時点では66.2%であり、2016年度改定で行った促進策の影響がうかがえる。
 後発医薬品の割合が75%以上で加算が取れる後発医薬品調剤体制加算の「2」を算定する保険薬局は30.3%で、65%以上の「1」は34.2%、届出なしは34.5%だった。1週間の処方品目のうち、一般名で処方されたのは31.1%で2015年度の24.8%から増加した。一般名で処方された医薬品で後発品を調剤した割合は77.4%で、2015年度の73.0%から増えている。
 病院の後発医薬品使用体制加算の状況をみると、70%以上の「1」は16.3%、60%以上70%未満の「2」は3.9%、50%以上60%未満の「3」は2.9%、全体では23.1%となっている。有床診療所は全体で11.4%だった。「後発品を積極的に処方する」と回答した医療機関は、病院で41.8%、有床診で15.9%となっている。
 医師に対する調査で、先発品の銘柄を指定し、変更不可にする理由としては、診療所・病院医師ともに、「患者からの希望があるから」(診療所65.6%、病院66.9%)が最も多く、次いで「後発品の品質(効果や副作用を含む)に疑問がある」(診療所53.2%、病院42.5%)が多い。また、一般名処方による処方せんを発行している医師は、病院で58.2%、有床診で74.6%となっている。
 調査は2016年10月に保険薬局1,500施設、診療所1,500施設、病院1,000施設に調査票を送付(施設調査)。有効回答率は保険薬局が46.9%、診療所が40.3%、病院が30.6%だった。

 

全日病ニュース2017年3月15日号 HTML版

 

 

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    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2016/160215_1.pdf

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    と組成及び製造販売業者が同ーであるものに限る。)との、. 有効成分の含有量あたりの
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    2016年12月1日 ... トルツ皮下注の再申請で薬価算定の不透明感高まる|第884回/2016年12月1日号
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