全日病ニュース

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抜本改革に向け薬価調査の改善方法を議論

抜本改革に向け薬価調査の改善方法を議論

【中医協・薬価専門部会】
オプジーボの効能追加でGLと通知

 中医協の薬価専門部会(田辺国昭部会長)は3月29日、薬価制度の抜本改革に向けて、薬価調査の改善策を議論した。調査手法について、都道府県を経由する現在の手法を変更し、厚生労働省が直接、卸売販売業者と保険医療機関・薬局に調査票を配布し、回収することを概ね了承した。2017年度本調査からの適用を想定する。また、同日の総会で、オプジーボ(小野薬品工業)の頭頸部がんへの効能追加に伴う最適使用推進ガイドライン(GL)と留意事項通知の報告を受けた。
 薬価制度抜本改革の基本方針により、2年に1度実施している薬価調査を毎年実施することになった。調査回数が増えることから、効率性の向上と関係者の負担軽減を図る必要がある。具体的には、調査における都道府県の関与をなくすことが課題となった。支払側の委員は、「回収率が下がるのではないか」と懸念を示したが、厚労省は「(調査対象への)コールセンターからの電話催促の実施などきめ細かな対応を講じる」と回答した。
 厚労省はあわせて、「現行の薬価制度で、卸売販売業者はすでに調査に対応した仕組みを構築しているため、調査手法の仕組みそのものの変更は望ましくない」と指摘した。これを踏まえ、診療側の委員は、「購入側の医療機関と保険薬局の調査は不要では」と負担軽減を主張した。ただ支払側の委員は、「販売側と購入側のデータが突合できないと調査の正確性が担保できない」と難色を示した。
 なお、薬価調査における国・都道府県の訪問調査では、販売側の卸売業者は全数調査、購入側の医療機関・薬局は抽出調査となっている。
PD-L1発現率で投与可否を判断
 同日の総会では、ニボルマブ(遺伝子組換え)の販売名オプジーボの効能追加に伴う最適使用推進ガイドライン(GL)と留意事項通知を3月24日に発出したことが報告された。効能追加は「再発または遠隔転移を有する頭頸部がん」。留意事項通知では、医療施設と治療の責任者の要件が示されている。
 医療施設要件は基本的に、頭頸部がん以外の適用と同じ。がん診療連携拠点病院等や「外来化学療法室を設置し、外来化学療法加算1または2を届け出ている施設」、「抗悪性腫瘍剤処方管理加算を届け出ている施設」とする。
 治療の責任者については、「医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に、5年以上のがん治療の臨床研修を行っている。うち2年以上は、がん薬物療法を含む頭頸部悪性腫瘍診療の臨床研修を行っている」ことなどを要件とした。医師との緊密な連携のもと、「5年以上の口腔外科の臨床研修を行っており、うち2年以上はがん薬物療法を含む口腔外科のがん治療の臨床研修」を行っている歯科医師も対象となる。
 GL では、臨床研修の国際共同第Ⅲ相試験において、PD-L1発現率により、有効性が異なることが示唆されていることから、PD-L1発現率を確認した上で、投与可否を判断することが望ましいとした。PD-L1発現率が1%未満であれば、他の治療選択肢を考慮すべきとしている。

 

全日病ニュース2017年4月15日号 HTML版

 

 

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  • [1] 中医協総会・薬価専門部会> オプジーボなどの最適使用推進 ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170301/news04.html

    2017年3月1日 ... また、薬価専門部会(西村万里子部会長)は、薬価調査をテーマに議論した。 ... 今回は
    オプジーボの一般名であるニボルマブ(遺伝子組換え)の悪性黒色腫と非小細胞
    肺がんの適用、キイトルーダの一般名であるペムブロリズマブ(遺伝子組 ...

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年9月1日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2016/160901.pdf

    2016年10月1日 ... として、オプジーボ(小野薬品工業)の薬価を2018年度の薬価改定を待たずに引. き
    下げる案を厚労省が ... ニボルマブの薬剤費は年間1兆7,500. 億円に上るという。日本
    の .... 連携拠点病院のアンケート調査結果が. 紹介されており、そこでは ...

  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年3月1日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170301.pdf

    2017年3月19日 ... 月8日、抗がん剤のオプジーボ(小野. 薬品工業)と ... ニボルマブ(遺伝子組換え)の
    悪性黒. 色腫と非小細胞 .... このため、薬価. 調査の正確性や調査手法などを検討し、.
    薬価調査自体の見直しを行う。 しかし今回、厚労省は、「特定の卸.

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