全日病ニュース

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次期診療報酬改定の要望8項目を了承

次期診療報酬改定の要望8項目を了承

【日病協】
改定の方向性についての考え方盛り込む

 日本病院団体協議会は3月24日の代表者会議で、厚生労働省に提出する次期診療報酬改定の要望項目を了承した。細部については、診療報酬実務者委員会で改めて協議し、代表者会議に諮る。個別点数の要件等には踏み込まず、改定の方向性について要望する。
 個別の要望は今秋に出す予定。また、3月末で、日本社会医療法人協会副会長の神野正博議長は、1年間の議長の任期を終え、4月から全国自治体病院協議会常務理事の原澤茂副議長が議長に就任する。
 要望書では、病院が置かれている状況として、医療・介護人材の不足に起因する人件費高騰による病院経営の困難や急性期病院を中心とした経営状況の悪化をあげている。次期改定では、病院間の機能分化と連携の強化が謳われているが、地域ごとの医療資源の偏在は著しく、全国一律の大きな改定は、地域医療に大きな影響を与えることから、慎重な対応を求めた。
 その上で、8項目をあげている。急性期病棟の評価では、①入院基本料の評価基準の見直しと病棟群単位による届出制度の改善②急性期病床の「重症度、医療・看護必要度」の評価(内科系疾患の評価の充実)③ DPC / PDPS制度の見直し─を要望する。
 入院基本料の評価については、看護師配置だけでなく、患者の状態像や病棟の機能に応じた評価とするため、抜本的な見直しが必要としている。ただし中長期的な課題と位置づけた。なお、厚労省も中医協で、類似の論点を示している。「重症度、医療・看護必要度」は、2016年度改定で一定の配慮がなされたものの、内科系疾患の評価が不十分との意見が根強く、「適切な配慮」が必要とした。DPC / PDPS 制度では、特に、2016年度改定で調整係数の縮小に伴い導入された「重症度係数」の妥当性を精査することを求める。
 それ以外の病棟の評価では、④医療療養病床の方向性の早期決定と看護配置基準・医療区分の見直し⑤精神疾患患者の高齢化への対応⑥地域包括ケア病棟の包括範囲の見直し─をあげた。
 医療療養病床については、介護療養病床の廃止が6年延長される予定であることを踏まえ、25対1医療療養病床も同様に、最低6年の経過措置が必要と主張する。精神疾患患者に対しては、長期入院患者の地域移行の方針がある中で、長期入院患者に高齢者が多いことに配慮した体制整備への評価を求める。地域包括ケア病棟は、2016年度改定で手術・処置の包括外算定が認められた。次期改定ではさらに、高額薬剤など患者の生命維持や治療に不可欠だが、高額な費用がかかるものを包括から除外することを要望する。
 診療報酬全体に関わる項目としては、⑦診療報酬の簡素化⑧医療のICT 化推進の診療報酬上の評価─がある。中長期的な課題としての抜本的な簡素化や、ICT 化のシステム経費などを賄える診療報酬の評価を要望する。
地域医療構想の誘導は問題
 同日の代表者会議では、そのほか、中医協や「医療計画のあり方等に関する検討会」、「医療と介護の連携に関する意見交換会」の議論が話題となった。
 中医協では、厚労省が示した入院医療に関する論点に対し、地域医療構想が目指す病院間の機能分化・連携を診療報酬で誘導することをねらっているのではないかとの懸念が出ている。神野議長は会見で、「地域医療構想と診療報酬を直接結びつけるのは問題」との姿勢を明確にした。
 また、3月15日の中医協総会の資料では、「7対1、10対1」と「13対1、15対1」の違いを際立たせている。これに対し神野議長は、「『7対1、10対1』は急性期、『13対1、15対1』は回復期に位置づけたいようにみえる。しかし解釈が強引との意見があり、我々としては、理論的な裏づけをしながら発言していく」と述べた。
 「医療計画のあり方等に関する検討会」で、厚労省が示した地域医療構想調整会議の議論の進め方に対しては、今秋の段階で、「機能ごとに具体的な医療機関名をあげた上で、機能分化・連携や転換の具体的な決定をする」ことに批判が相次いだという。「医療と介護の連携に関する意見交換会」で行われた議論に関しては、病院で介護職が看護補助として取り扱われることに、「時代に合っておらず、介護職として評価すべき」との意見が出たことが報告された。

 

全日病ニュース2017年4月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 平成28年度診療報酬改定に関する要望書(第2回)

    http://www.ajha.or.jp/topics/nichibyou/pdf/151202_3.pdf

    もに、 超高齢社会において国民の納得が得られる診療報酬制度実現のために、 次期
    改定で. 改正が必要 ... 日病協 「平成28年度診療報酬改定要望書 (第ー回)」 (平成27年
    7月 3 日) ヽ. ー. ... 入院基本料等における 「重症度、 医療 ・ 看護必要度」 の見直し.

  • [2] 次期診療報酬改定の要望書を4月に提示|第888回/2017年2月15日 ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170215/news08.html

    2017年2月15日 ... 中医協で次期診療報酬改定に向けた議論が始まったことから、厚生労働省に対する
    改定要望書を通常より早く4月に提出することを決め ... このため日病協として、10対1の
    患者像や必要とされる医療機能を整理すると決めた。 ... 平成 28 年度は診療報酬改定
    が行われた。7対1入院基本料等の重症度、医療・看護必要度. は大きく ...

  • [3] 項目を見直す「重症度、医療・看護必要度」は15%を継続すべき|第858 ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20151101/news09.html

    2015年11月1日 ... 項目を見直す「重症度、医療・看護必要度」は15%を継続すべき|第858回/2015年
    11月1日号 HTML版。21世紀の医療を考える「全日病ニュース」は、全日本病院協会 ...
    【2016年度診療報酬改定入院医療の検討課題と見直しの方向性について】 ... 7対1
    以外の病院も、これらの項目に対しての準備に掛かるべき時期と考える。

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