全日病ニュース

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第3・第4例目となる医療技術を承認

第3・第4例目となる医療技術を承認

【厚労省・患者申出療養評価会議】
東大病院は第1例目の症例数を変更

 厚生労働省の患者申出療養評価会議(福井次矢座長)は4月13日、第3例目と第4例目となる患者申出療養の新規技術を承認した。「難治性天疱瘡患者に対するリツキシマブ治療」と「チオテパを用いた自家抹梢血管細胞移植療法」で受理日は3月21日。6週間以内の実施を目指し手続きを進める。また、東京大学医学部附属病院が申請した第1例目の「パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療養」の予定症例数を100例から121例に増やすことも了承した。
 自己免疫性水疱性疾患である「難治性天疱瘡患者に対するリツキシマブ治療」の患者は、現状で長期間に及ぶ高用量のステロイド内服を余儀されている。しかし海外では、抗がん剤の分子標的薬であるリツキシマブが追加治療の第一選択となっており、有効性と安全性が報告されているという。申請は慶應義塾大学病院。患者負担は、保険給付されない費用が145万6千円、保険給付される費用の一部負担金が4万円あるが、企業負担が82万円出る。了承にあたっては、モニタリング体制に対して、第三者的な立場の者を加えることと監査を実施することのコメントを加えた。
 「チオテパを用いた自家抹梢血管細胞移植療法」では、19歳以下の再発または難治性の髄芽腫等に、抗がん剤のチオテパを用いた効果と安全性を検討する。申請は名古屋大学医学部附属病院。患者負担は、保険給付されない費用が73万1千円(企業負担のため薬剤費用は含まない)、保険給付される費用の一部負担金が197万6千円ある。
 昨年10月から実施されている患者申出療養の第1例目となった「パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療養」は、予定症例を100例から121例に変更するとの東京大学医学部附属病院の申し出を了承した。東大病院の説明によると、「多施設協働試験で実施しており、予定症例の100例が本登録された時点で、すでに患者の同意を得て仮登録していた症例があり、個々の症例に対する対応を検討」した結果、追加したという。
 厚労省は「本来は望ましくない対応」と説明。委員からも、「理由として不十分ではないか」、「さらに追加があったらどう対応するのか」などの指摘が相次いだ。同制度は、患者の申し出を基本とする保険外併用療養費制度だが、将来の保険収載を目指すため、一定のエビデンスの水準を保つために症例を集積する臨床研修でなければならない。
 両者の整合性を図ることが課題となっており、今回の事例も踏まえ、同制度の位置づけを引き続き議論する必要があることを確認した。

 

全日病ニュース2017年5月1日号 HTML版