全日病ニュース

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24時間体制のt-PA療法で地域連携体制構築

24時間体制のt-PA療法で地域連携体制構築

【厚労省・脳卒中WG】
支援する病院と支援される病院設ける

 厚生労働省の「脳卒中に係るワーキンググループ」(小川彰座長)は4月21日、脳卒中の急性期医療について、24時間体制のt ‐ PA療法を地域に確保するため、支援する病院と支援される病院のネットワーク体制を構築することを報告書に盛り込む方針で概ね一致した。そのための評価指標を今後検討し、都道府県の医療計画の目標に役立ててもらうことを目指す。
 脳卒中の急性期医療では、t - PA製剤により血管に詰まった血栓を溶かすt - PA療法(血栓溶解療法)が標準治療。だが、全国における実施率は急性期脳梗塞の約5%にとどまり、地域差も大きい。同WGはt - PA療法の均てん化を目指す議論を行っているが、地域の状況は異なり、それぞれの医療資源や臨床現場の状況に即した検討が必要とされている。
 前回の議論では均てん化のため、24時間体制で適切な治療が提供できる体制の確保が必要との認識で一致。今回厚労省は、十分な診療体制を整えていない病院であってもネットワークを構築し、遠隔医療の活用や病院間搬送ができる病院と連携することで、24時間体制を確保することを論点とした。
 例えば、医療資源が乏しい地域で、十分な体制が整えられない病院であっても、中核的な病院から「補助」を受けられれば、圏域として24時間体制のt - PA療法を構築できる。「補助」の内容は画像送受やテレビ会議を用いた遠隔医療や、t - PA療法を開始後に合併症が発生した場合などの病院間搬送(drip & ship)が考えられるとした。
 このような連携体制に対して、多くの委員が賛同した。さらに連携推進のため、日本脳卒中学会「rt - PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針」の改訂や診療報酬の対応を求める意見が出た。全日病副会長の美原盤委員は、単独では十分な体制を整えられない病院が必要とする「補助」の明確化を求めた。
 連携体制の確保に必要なアウトカム指標を含めた指標も今後検討する。ただ、2018年度からの第7次医療計画についてはすでに作成指針を通知し、脳卒中を含めた5疾病5事業の目標に関して記載する事項を示している。「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」として報告書にまとめた後で、医療計画に何らかの形で反映するよう働きかける意向だ。

 

全日病ニュース2017年5月1日号 HTML版

 

 

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  • [1] 厚労省・脳卒中WG> tPA療法を受けられる体制の確立を目指す

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20160901/news09.html

    2016年9月1日 ... tPA療法を受けられる体制の確立を目指す|第878回/2016年9月1日号 HTML版。
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