全日病ニュース

第3期がん対策推進基本計画の具体的内容を検討

【厚労省・がん対策推進協議会】
「がんの克服」をスローガンに

　厚生労働省のがん対策推進協議会（門田守人会長）は４月13日、2017年度からはじまる第３期がん対策推進基本計画の策定に向け、厚労省によるたたき台をもとに議論した。
　 がん対策基本計画は、総合的ながん対策を進めるため、2017年度から６年間の計画として策定するもので、今夏の閣議決定を目指している。協議会は、この日からたたき台に基づき、具体的な内容の検討に入った。
　たたき台では、対策の全体目標として、「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんに負けることのない社会の実現」を掲げるとともに、①正しい知識に基づくがん予防の充実②世界最高水準のがん医療の実現③尊厳を持って安心して暮らせる社会の実現―の３点について、目標を設定するとしている。
　CSR プロジェクト代表理事の桜井なおみ委員は全体目標について、「スローガンとして、がんの克服を入れてほしい」と要望。患者団体の委員は「がんの克服」を盛り込むことに賛同した。
　一方、県立静岡がんセンターの山口建委員は「がんの克服という表現は強い」と発言し、医療関係者の委員は「がんの克服」に難色を示した。
　門田会長は「がん対策推進協議会は、委員の４分の１が患者団体という特色をもつ。がんの克服を盛り込むよう調整してほしい」と厚労省に要望した。
　分野別施策は、①がん予防②がん医療の充実③がんとの共生④これらを支える基盤の整備を掲げている。がんとの共生では、ライフステージに応じたがん対策として、小児・AYA 世代（思春期・若年成人）、高齢者のがん対策を記載している。
　広島大学自然科学研究支援開発センターの檜山英三委員は、「小児がん患者は成長してAYA 世代になるが、小児がんとAYA がんは別のものだ。特にAYA 世代のがん医療は取り残されている」とし、小児とAYA 世代のがん医療の充実を主張した。
　また、「認知症が進んだ高齢者は自分で治療や生活の判断が困難」との意見もあり、小児、AYA、高齢者については、医療対策として分類する方向で検討する。