全日病ニュース

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乳がん検診で高濃度乳房の通知方法を議論

乳がん検診で高濃度乳房の通知方法を議論

【厚労省・がん検診のあり方に関する検討会】

 厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」(大内憲明座長)は3月27日、乳がん検診における高濃度乳房の被検者に対する通知方法について議論した。
  検討会では、聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックの福田護参考人が、川崎市のがん検診における通知方法について報告。川崎市は、乳がんの定期検診でマンモグラフィ単独検診を行っているが、高濃度乳房の人は乳腺が多く残っており、マンモグラフィで乳がんを発見できないケースがある。このため、川崎市は検診結果票で高濃度乳房であることを通知している。乳房は、乳腺と脂肪で構成され、脂肪性、乳腺散在、高濃度(不均一高濃度を含む)に分類される。高濃度乳房の場合、自費による超音波検査で乳がんが発見されるケースがあるが、エビデンスは確立していない。
 健康局がん・疾病対策課は、2016年度の乳がん検診に関する実態調査の結果を報告した。3月に1,741市町村(特別区を含む)に対してアンケート調査を実施した。「乳がん検診におけるマンモグラフィの実施」では、「実施している」99.7%、「実施していない」0.3%で、ほとんどの市町村でマンモグラフィを実施している。
 「受診者の乳房の構成について、検診実施機関から報告を受けているか」では「報告を受けている」31.0%、「報告を受けていない」69.0%だった。「マンモグラフィの乳房の構成を対象者に通知しているか」では「通知している」13.5%、「通知していない」86.5%だった。
 通知していない市町村のうち、7.8%が、今後通知する予定があると回答した。
 「対象者に通知している場合、高濃度乳房の方に対する通知の際に、受診者が取るべき対応を推奨していることはあるか」の質問には、「推奨していることがある」50%、「推奨していることはない」50%だった。推奨する内容(複数回答)としては、超音波検査の受診95、精密検査の受診18、定期的な乳がん検診の受診5、再検査の受診4で、超音波検査の受診を推奨している市町村が多かった。
 検討会は、市町村の実施するがん検診に関し、がん検診の対象年齢ごとの推奨度や、厚労省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」に基づかない検診項目の扱いについて議論していく。厚労省の指針の改正も検討課題となっている。
 また、職域におけるがん検診のガイドラインの策定に向けて、6月をめどにワーキンググループを設置する。職域におけるがん検診は、受診機会を提供する重要な役割を担っていることから、ガイドラインを策定し、保険者や事業主ががん検診を実施する際の参考とする。ワーキンググループは、夏をめどに中間的な報告をとりまとめ、2018年度中にガイドラインを策定する予定だ。

 

全日病ニュース2017年5月1日号 HTML版