全日病ニュース

全日病ニュース

心不全患者のリハビリを地域全体で管理

心不全患者のリハビリを地域全体で管理

【厚労省・心血管疾患WG】
施設の評価指標は今後の課題

 厚生労働省の「心血管疾患に係るワーキンググループ」(永井良三座長)は5月19日、心血管疾患の回復期から維持期にわたる医療提供体制の考え方をまとめた。今後増加する慢性心不全患者を施設単体ではなく、地域全体で管理し、急性期医療との連携体制を構築する方向性を明確にした。全日病副会長の美原盤委員は、「心不全増悪で再入院を繰り返す患者を急性期の大病院がすべて抱えるのは難しい」と強調した。
 厚労省は心血管疾患リハビリテーションの提供体制のイメージを提示。急性期後は、外科的治療やPCI(経皮的冠動脈形成術)を行う専門的な施設から、内科的治療中心の施設へ移行し、回復期から維持期でのリハビリにつなげる体制を描いた。前期回復期は入院で、後期回復期は外来で、運動療法などのリハビリやカウンセリングなどを提供する。後期回復期からはかかりつけ医での対応を目指し、維持期はかかりつけ医が担う体制で再発防止を図る。
 また、関連学会が提唱するリハビリは「運動療法、冠危険因子是正、患者教育およびカウンセリングなどを含む多職種チームによる多面的・包括的な疾病管理プログラム」である。主に外来で行われることを想定しており、厚労省は、多職種が連携し、地域で慢性心不全患者を管理する体制の検討を促した。委員から概ね合意を得た。
 心不全患者は高齢化に伴って増加傾向にあり、毎年1万人程度増えている。
 2030年には発症が年間35万人を超えるとの推計がある。発症し治療後も、急性増悪と回復を繰り返す慢性心不全状態に陥り、常に突然死の危険がある。
 そのような変動を繰り返しながら、次第に身体機能が低下していく。委員からは、「回復の見込みが低くなった患者すべてに人工心臓をつけるのかは、今後考える必要がある」との意見が出た。
 今後の課題としては、それぞれの機能を担う施設の評価指標を検討することを確認した。その場合に、リハビリの実施件数など医療計画における指標などを参考にするとともに、連携体制の観点が必要との意見が出た。

 

 

全日病ニュース2017年6月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 心血管疾患の慢性期リハの実施体制を議論|第891回/2017年4月1日 ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170401/news09.html

    2017年4月1日 ... 特に、慢性期のリハビリテーションを実施する体制に関し、委員から様々な意見が出た。
    ... 厚労省が示した課題に委員からは、「すべての患者の心血管疾患リハまで、急性期
    大病院がみるのは今後不可能なので、回復期を担い、慢性期リハ ...

  • [2] 心血管疾患を治療する病院の役割分担を議論|第878回/2016年9月1 ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20160901/news08.html

    2016年9月1日 ... 初会合では急性期心血管疾患を議論したが、2回目は回復期、慢性期をテーマとする
    。次期医療計画の ... 両者の施設で、急性大動脈かい離に対する外科的治療や早期
    リハビリテーション実施などの体制が必要であるとした。 これらの施設 ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。