全日病ニュース

アレルギー疾患医療の提供体制を議論

【厚労省・アレルギー疾患医療検討会】

　厚生労働省の「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」（斎藤博久座長）は６月１日、アレルギー疾患の医療提供体制の構築に向けて厚労省が示したたたき台を議論した。次回に報告書をまとめる予定。
　たたき台は、国立成育医療研究センターと国立病院機構相模原病院を中心拠点病院と位置づけるとともに、各都道府県に拠点病院を設置。診療所や一般病院のかかりつけ医と連携することにより、正確な診断と適切な治療・管理が行われる体制を目指す。また、薬剤師・薬局は、医薬品や薬物療法の情報提供や指導を行い、服薬情報やアレルギー歴をはじめとする副作用情報を処方医にフィードバックする役割を担うとした。
　たたき台は、アレルギー疾患医療全体の質の向上を目指して、中心拠点病院と都道府県拠点病院、一般病院、診療所が連携して取り組む体制を提案。
　中心拠点病院は、ウェブサイトや講習会を通じて、アレルギー疾患に関する科学的な知見に基づく適切な情報を提供するとともに、都道府県拠点病院に従事する専門的な知識を有する医療従事者の育成を担う。
　都道府県拠点病院は、一般的な診断や治療では病態が安定しない重症および難治性アレルギー疾患に対し、関係する複数の診療科が連携して診断、治療、管理を行う。拠点病院の選定は、都道府県が行い、原則各都道府県に１～２カ所とする。
　また、都道府県は、アレルギー疾患対策を推進するため、都道府県地域連絡協議会を設置する。地域連絡協議会は、都道府県や都道府県拠点病院、専門医、医師会、市区町村、学校関係者によって構成することとした。
　厚労省は「都道府県拠点病院は、恒久的なものでない。都道府県がチェック機能をもつことが大事で、拠点病院を見直すこともありえる」と説明した。
　全日病副会長の織田正道構成員は、「協議会に病院団体が参加すべきだ。
　病院団体には、病院間のネットワーク、多職種のネットワークとつながりがあり、病院団体の参画を明記すべき」と主張。斎藤座長は「検討する」と回答した。
　また、織田構成員は「アレルギー疾患は診療科の幅が広い。拠点病院が診療科の横串となり、関係者の情報共有には、専門学会を活用することが重要である」と述べた。