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費用対効果評価は保険償還の判断には用いない

費用対効果評価は保険償還の判断には用いない

【中医協・費用対効果評価専門部会】価格調整は一定期間後に

 中医協の費用対効果評価専門部会(荒井耕部会長)は6月28日、来年度の制度導入に向けて議論を進めた。医薬品や医療機器に対する費用対効果評価は価格調整に反映させることとし、保険償還の判断には用いないことを決めた。また、費用対効果評価を行うには一定の時間がかかるため、収載と同時になるとドラッグ・ラグ、デバイス・ラグにつながることが懸念される。このため、保険収載の一定期間後に価格調整を行うなど、費用対効果評価の仕組みについて一定の合意を得た。
 現在試行的に実施している仕組みでは、医薬品7品目・医療機器5品目を選び、費用対効果の分析を行っている。
 医薬品ではC型肝炎治療薬のハーボニーやソバルディ、抗がん剤のオプジーボなどが対象だ。
 同日は、来年度の制度化に向け対象となる品目の要件を議論。その結果、医療保険財政への影響度を重視する観点から、①革新性が高い②市場規模が大きい─の二つを満たす医薬品・医療機器を対象にすることが妥当とした。
 ただし、「市場規模が一定程度を超えない場合でも、著しく高額な品目は、薬価算定組織および保険医療材料等専門組織の意見を踏まえ、柔軟な対応ができるようにする」。また、オプジーボの事例を踏まえ、効能追加等により収載後の市場規模が一定規模以上拡大したものも対象とする。
 除外要件としては、①希少疾患(指定難病、血友病およびHIV 感染症)②「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」等の検討結果を踏まえ厚生労働省の開発要請または公募に応じて開発されたもの③小児疾患の治療に用いるもの④基礎的医薬品、不採算品再算定、最低薬価の対象である医薬品および不採算品目の償還価格見直しの対象である医療機器─をあげた。
 費用対効果評価の結果を価格調整だけでなく、保険償還の判断で用いることについては、これまで何度も議論を行ってきた。「国民皆保険のもとで、アクセスの制限が加わることは国民の理解を得られない」、「保険償還の可否で評価を使っている英国でも近年制度を変えた」などの指摘が出ている。これらの意見を踏まえ、厚労省は「原則として、保険償還の判断には用いない」と提案。委員の了承を得た。ただ、支払側の委員は「将来的な検討課題」にすることを念押しした。
 価格調整を行う時期については、保険収載から一定期間後とした。価格調整に時間がかかり、保険収載が遅れれば、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグが生じる恐れがあるためだ。どのタイミングで価格調整を行うかは今後の検討課題。ただしイノベーションを評価する観点では、保険収載と同時に価格調整することが望ましいほか、制度運用の効率化で期間短縮が期待できることから、今後の対応には含みを残している。
 なお、価格調整の具体的な方法については、医薬品は薬価専門部会、医療機器は保険医療材料専門部会、高額な医療機器を用いる医療技術は総会で検討することになっている。

 

全日病ニュース2017年7月15日号 HTML版

 

 

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  • [2] 費用対効果評価の仕組みの制度化を議論|第889回/2017年3月1日 ...

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