全日病ニュース

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公的医療機関等の改革プラン策定を了承

公的医療機関等の改革プラン策定を了承

【厚労省・地域医療構想に関するWG】厚労省は病床機能の定量的データ提示

 厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(尾形裕也座長)は7月19日、公的病院が地域における役割を明確化する改革プランを策定することを了承した。地域医療構想調整会議での議論に役立てる。また、厚労省が病床機能報告制度で得た情報の分析結果を示した。病院が報告した医療機能と提供している医療内容が異なることをデータ分析により指摘することに対し、慎重な対応を求める意見が相次いだ。
 改革プランの策定は各公的医療機関が対象。公立病院を除く日本赤十字社・恩賜財団済生会・厚生農業協同組合連合会等の病院、共済組合・健康保険組合・地域医療機能推進機構等の病院、他の独立行政法人(国立病院機構、労働者健康安全機構)の病院、地域医療支援病院、特定機能病院まで幅広い。
 公立病院に対しては、すでに新公立病院ガイドラインがある。関係審議会等の意見を受け、公的病院にも、地域医療構想を踏まえた役割の明確化を求めることにした。
 改革プランには、各医療機関が今後地域で担うべき役割や、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4機能ごとの病床、診療科のあり方を記載する。
 さらに、公立病院改革ガイドラインと同様に、「病床稼働率、手術室稼働率等、当該医療機関の実績に関する項目」、「紹介率、逆紹介率等、地域との連携に関する項目」、「人件費率等、経営に関する項目」などを求める。
 病床機能報告制度で得た情報を基に厚労省が分析結果を示した。例えば高度急性期または急性期と報告している病棟で、「外科系」または「診療科で上位1位が外科系」を選択した病棟の「手術件数」「全身麻酔の手術件数」を集計した。その結果、手術件数ゼロ件が148病棟(約7%)、全身麻酔の手術件数ゼロ件が360病棟(約18%)あった。
 同様に高度急性期または急性期と報告している病棟で、「呼吸器内科」を選択している病棟において「呼吸心拍監視」「酸素投与」の実施状況を集計した。
 その結果、呼吸心拍監視の実施ゼロ件が40病棟(約6%)、酸素投与の実施ゼロ件が31病棟(約5%)あった。
 委員からは「にわかに信じ難い。記入漏れや季節要因が大きいのでは」と精査が必要との意見が出た。
 厚生労働科学研究の「入棟・退棟患者の経路に関する分析」(研究代表者=松田晋哉・産業医科大学教授)の結果も報告された。高度急性期では家庭からの入院が7割、退院先も家庭が6割など、医療機能別の入棟・退棟経路の特徴を明らかにした。その上で、入棟・退棟経路別の患者構成で、病棟の医療機能の推測が可能と示唆した。
 全日病副会長の織田正道委員は、「データの分析結果は興味深いが、一つの見方に過ぎない。主に担う医療機能を自主的に選択するのが病床機能報告制度の医療機能であり、定量的な基準とするのは難しい」と釘を刺した。

全日病ニュース2017年8月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 厚労省・地域医療構想WG> 急性期指標の取扱いに慎重論相次ぐ

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170601/news01.html

    2017年6月1日 ... ただ厚労省は現状で高度急性期がゼロ床の区域が82区域あり、うち9区域が、「将来の
    病床必要量をゼロ床として ... 急性期の病院が満たしそうな項目として、入院基本料等の
    算定から人員配置、医療機器・院内設備の保有状況、手術件数 ...

  • [2] 厚労省・医療計画検討会> 調整会議の進め方に委員から反発相次ぐ

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170401/news01.html

    2017年4月1日 ... 厚労省が、2017年度の調整会議のスケジュールを示したが、今秋の段階で、機能分化
    を促す医療機関名を具体的にあげるとした点に ... 回復期の機能が充足しない場合、
    急性期を担う他の医療機関に回復期への転換を求めるかが検討課題となる。 ... 一方、
    厚労省は、病棟ごとの治療件数など具体的な医療の内容を集計し、◇外科病棟の部位
    別全身麻酔手術の実施件数◇脳神経外科病棟の ... 高度医療機器の保有状況の評価
    などとあわせ、医療機関の役割分担の検討につなげる方針を示している。

  • [3] 7対1・10対1の見直しめぐり意見分かれる|第802回/2013年6月1日号 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20130601/news09.html

    2013年6月1日 ... 議論の中で、事務局(厚労省保険局医療課)は、今後、急性期の受け皿機能を含む亜
    急性期のあり方が大きな議論テーマになるという認識を示した。 ... 調査結果の報告は、
    「平均在院日数が長い7対1病院の手術件数は少ない傾向にある」と、あるいは「介護
    施設等からの入棟患者の割合が高い7対1病院の手術件数は ... 高度な医療をする、
    特殊な疾患をみる、在宅看取りを引き受けると、7対1病院は3つに分かれる。

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