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厚労省が原価計算方式の仮想例を提示

厚労省が原価計算方式の仮想例を提示

中医協・薬価専門部会項目のさらなる精査が必要

 厚生労働省は7月26日の中医協の薬価専門部会(中村洋部会長)に、類似薬のない新薬を保険収載する際の価格算定(原価計算方式)の仮想例を示した。診療側・支払側双方から「透明性が低い」と指摘される原価計算方式について、詳細な算定方法を示すことで疑念の払拭を狙ったが、委員からは、「妥当性が疑わしい経費があり、さらなる精査が必要」との意見が多かった。
 薬価算定方式には、類似薬効比較方式と原価計算方式がある。前者は、同じ効果の医薬品なら同じ価格という考え方で、既存薬と比較した薬価算定が行われる。後者は、原価を積み上げてそれに一定の利益などを加え薬価を算定する。しかし原価計算方式に対しては、「企業の言い値で製造原価を計算しているのではないか」、「市場規模予測から逆算して、利益が見込めるよう原価を計算しているのではないか」など、恣意的な対応を疑う指摘があり、透明性が求められていた。
 今回、厚労省が新薬算定の仮想例を示した。原価の内訳として、製品総原価を①原材料費②労務費③製造経費④一般管理販売費⑤研究開発費─にわけた。特に、研究開発費は詳細に説明した。金額は50万錠単位換算で示し、「原材料費」+「労務費」+「製造経費」の製造原価が約1億円、これに研究開発費を含む一般管理販売費を加えた製品総原価が1億9千万円となった。製造原価と一般管理販売費はほぼ半々の経費ということになる。営業利益や流通経費、消費税を加え、算定薬価は2億5,845万円となっている。
 原材料費は、錠剤の原料費や容器包装原材料費などからなる。単価も記されているが、輸入品の場合は内訳が示されない。労務費は、工作別作業時間の合計で、業界の平均賃金を上限としているが、委員から「製薬業界の賃金は他産業より高い」との指摘があった。
 製造経費は、電気・ガス・水道の「エネルギー」、租税公課を含めた「設備償却費」、その他の「消耗品」からなる。
 一般管理販売費の多くは研究開発費で、9千万円のうち7千万円を占めた。
 細目は◇基礎研究費◇臨床研究費◇PMS(市販後調査)費。残りの2千万円は一般管理費・販売費となっている。MR(医薬情報担当者)活動の経費は、GVP 省令に基づく市販直後調査とGPSP 省令に基づく使用成績調査以外は原則認められないとした。
 これらの仮想例に対し、製薬業界の専門委員は「曖昧な経費は認められない。従って原価そのものではなく、一律に決められた基準で算定したモデル原価」と述べ、実際の経費を下回ると主張した。しかし委員からは、薬価を算定する際に含める経費として疑わしいものが含まれており、さらなる精査が必要との意見が多かった。

 

全日病ニュース2017年8月15日号 HTML版

 

 

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    2017年5月1日 ... 新薬の薬価算定方式には類似薬効比較方式と原価計算方式があるが、比較薬がない
    場合は原価計算方式で算定することになる。原価計算方式に対しては、これまでも中医
    協で様々な指摘があり、累次の改定を行ってきた。しかし薬価制度 ...

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    2016年2月10日 ... いう。ただし、新規後発品の薬価算定においては、同一剤形区分内にお. ける剤形の
    違いは考慮、しない。 15 類似薬. 類似薬とは、次の既収載品 .... 原価計算方式とは、
    薬価算定単位あたりの製造販売に要する原価に、. 販売費及び一般管理 ...

  • [3] 薬価基準の算定について(厚生労働省保険局医療課:H26.2.12)

    https://www.ajha.or.jp/admininfo/pdf/2014/140214_2.pdf

    2014年2月12日 ... ただし、新規後発品の薬価算定においては、同一剤形区分内における剤形. の違いは
    考慮しない。 15 類似薬. 類似薬とは、次の既収載品をいう。 .... 原価計算方式とは、
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