全日病ニュース
特定行為に係る看護師の研修制度を今後どう活用すべきか
特定行為に係る看護師の研修制度を今後どう活用すべきか
【高齢者医療介護委員会】
まず、座長が趣旨説明を行った。看護師の特定行為研修制度は、医師の包括的な指示に基づき、在宅等で危険を伴う特定の医行為を看護師の判断を交えながら一定の範囲内で実施するために必要な研修を行うものである。研修修了者が実際に活躍する場面が増える一方で、まだまだその実態が知られていないという現実があり、2025年までに10万人の修了者を出すという厚生労働省の方針ではあるが、現状ではかなり困難であると言わざるを得ない。
厚労省の示す働き方改革では、医師等の労働時間とその内容に着目し、他職種へのタスクシフティングがその解決の一助になるとの方向性(新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書:平成29年4月)が示されている。特定行為研修はその実現の一助になりうると期待される一方で、行わせる業務の範囲や研修のあり方について様々な問題があると指摘。全日病では、早くからこの問題に取り組んでいることを強調した。
次に、厚労省の島田陽子看護課長は、「特定行為研修制度の今後の戦略」と題して、10万人確保に向け都道府県が医療計画において特定行為研修の体制整備に向けた計画を策定することとしたこと、財政支援や研修機関の指定の在り方の見直し、大学や高度急性期よりも修了者の主戦場は在宅や慢性期と考えていることを明言した。
更に、座長が「病院としての今後の戦略」と題し、現在の研修の取組状況に加え、今後の展開として地域で取り組む研修のスタイルを提案した。共通科目は出来るだけ身近な研修機関で修了し、その上で行為別研修を県内の複数の指定研修機関で受講できるようにするというものである。また、315時間という膨大な共通科目の時間数の問題、働きながらの受講者への配慮の必要性などを指摘した。
訪問看護ステーション愛美園の中島由美子所長は、訪問看護の現場で実践している立場から報告するとともに将来に向けた提案を述べた。大和クリニックの木村洋輔院長は、指示を出す医師としての立場から制度活用の意義と制度発展のためヒントを発表した。二人は行為の実践は医師と看護師の相互の信頼関係の上に成り立つことや研修修了後には自信を持って行為を実践できること、指示や報告が極めて短時間で確実になったことなどを報告した。
更に、S-QUE研究会の兼久隆史事務局長は、全日病と共同開発している全日病S-QUE e-ラーニング教材の現状と課題について報告した。指定研修機関54のうち34が同教材を使用していることや、区分別科目についても開発中であることを発表した。
討論では、研修施設やその教育内容等について、量の確保に加えて質の担保・向上が求められること、そのためには全日病をはじめとして多くの関係者の理解と協力が不可欠であること、時間数の見直しや在宅等で必要とされる医行為の範囲の拡大などが喫緊の課題であるなどの指摘があった。フロアからの意見なども寄せられ、有意義なシンポジウムとなった。
全日病ニュース2017年11月1日号 HTML版
[1] 看護師特定行為に関するご案内:病院運営支援事業 - 全日本病院協会
https://www.ajha.or.jp/hms/tokuteikoui/
全日本病院協会では、2015年10月1日からスタートした看護師の特定行為研修を推進
しています。 ... 手順書に則って特定行為を行う場合は、特定行為研修を修了することが
必要であり、研修の内容は全てに共通して学ぶ「共通科目」315時間(合計)と「区分別 ...[2] 看護部門長研修:教育研修 - 全日本病院協会
https://www.ajha.or.jp/seminar/nurse/
看護部門長には、看護師不足・定着率問題を解決するために、部門内における問題
解決能力やコミュニケーション能力などの強化が ... 定員, 200名 ※病院管理士、看護
管理士、看護部門長研修受講修了者、事務長研修受講者を優先とさせていただきます。[3] 看護師特定行為研修指導者講習会:教育研修 - 全日本病院協会
https://www.ajha.or.jp/seminar/tokuteikoui/
全日病(公益社団法人全日本病院協会)の病院運営支援事業について。 ... この新たな
研修制度は、看護師が手順書により行う特定行為を標準化することにより、今後の在宅
医療等を支えていく看護師を計画的に ... 申込期限, 平成29年10月13日(金) 募集終了.
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