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介護報酬改定に向け2巡目の議論を開始

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【厚労省・介護給付費分科会】プラス改定をめぐり賛否の意見

 厚生労働省は10月27日の社会保障審議会・介護給付費分科会(田中滋分科会長)に2017年度介護事業経営実態調査の結果を報告するとともに、2018年度介護報酬改定の「基本的な視点」案を提示した。
 今年5月に実施された同調査の有効回答率は47.2%で、介護療養型医療施設は43.5%と一段低い回答率にとどまった。介護療養型医療施設の収支差率(2016年度決算)は3.3%となり、2014年度決算の6.1%、15年度決算の3.7%からさらに低下した。
 2018年度介護報酬改定に向けて、厚労省が示した「基本的な視点」案(別掲)を踏まえて議論し、委員からは改定率に対する意見が示された。介護保険施設系の委員はそろってプラス改定を求めた。
 日本介護福祉士会や「認知症の人と家族の会」の委員もプラス改定を訴えた。連合の委員も「(次期改定は)介護人材の確保と処遇改善が最重要課題である」とマイナス改定に反対した。一方、健保連、経済団体、保険者等の委員は「プラス改定をする環境にない」として、給付のさらなる適正化を要求した。
 「基本的な視点」案に関しては様々な意見が出され、引き続き議論を行っていくことを確認した。
 厚労省は、次回以降原則的に週1回のペースで分科会を開催し、12月上旬から中旬にかけて基準および介護報酬改定の基本的な考え方をとりまとめる方針だ。
◎ 2018年度介護報酬改定に向けた基本的な視点案(骨子)
①地域包括ケアシステムの推進
・本人の希望する場所での、その状態に応じた医療・介護と看取りの実施
・医 療・介護の役割分担と連携の一層の推進
・関 係者間の円滑な情報共有とそれを踏まえた対応の推進
・各 介護サービスに求められる機能の強化
・ケアマネジメントの質の向上と公正中立性の確保
・認知症高齢者への対応
・地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進
②自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現
・高 齢者の自立支援と要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資する介護サービスの推進
・介護サービスの安全・安心を確保する観点からの取り組みの推進
③多様な人材の確保と生産性の向上
・専門性などに応じた人材の有効活用
・ロボット技術・ICT の活用や人員・設備基準の緩和を通じたサービス提供の効率化
④ 介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保
・評価の適正化・重点化
・報酬体系の簡素化

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全日病ニュース2017年11月15日号 HTML版

 

 

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  • [1] 厚労省・介護給付費分科会> 介護医療院を含む2018年度介護報酬改定

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170515/news04.html

    2017年5月15日 ... 介護医療院を含む2018年度介護報酬改定の議論を開始. 【厚労省介護給付費分科会
    】 地域共生社会の考え方を説明. 社会保障審議会・介護給付費分科会(田中滋分科
    会長)は4月26日、2018年度介護報酬改定の議論を開始した。 厚生労働省は改定に
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  • [2] 介護処遇調査を臨時に実施|第896回/2017年6月15日 HTML版 ...

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