全日病ニュース

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在宅医療や訪問看護、入院医療などの議論進む

在宅医療や訪問看護、入院医療などの議論進む

【中医協・総会】療養病床再編にも対応

 中医協総会(田辺国昭会長)は次期診療報酬改定に向け、活発な議論を行っている。11月は週2回の開催で、個別事項の議論を続けている。以下で、11月10日、15日、17日の総会の議論を概観する。10日は在宅医療、15日は訪問看護、17日は入院医療などをテーマとした。
 在宅医療については、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、認知症グループホームに併設した医療機関が、併設する居住施設に訪問診療を提供した場合の新たな医学管理の評価を新設することを厚生労働省が提案した。訪問診療で移動の手間が少ないことや併設医療機関の受診でも初再診料が算定できることなどに対応する。
 療養病床再編に伴う医療外付け型サービスへの対応も背景にある。介護医療院については、「介護療養型医療施設や介護老人保健施設における取扱いを参考に、医療保険と介護保険に係る給付調整の取扱いを整理する」とした。
 看取りに関しては、末期のがん患者への訪問診療を念頭に、「医療機関とケアマネジャーとの間の情報共有・連携等を在宅時医学総合管理料等の要件」とする。在宅療養患者が救急搬送され、最期は病院で亡くなる場合に、関係機関の間で患者の意思を共有した場合の評価を新たに設ける。「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を診療報酬上に位置づける。これらに関して、概ね了承した。
 訪問看護ステーションをめぐっては、病院に併設している場合の評価を手厚くすることが論点になった。医療機関による訪問看護の件数は、訪問看護ステーションの約3分の1。医療機関全体の約3.9%にとどまり、医療機関の中では精神科訪問看護の割合が高くなっている。
 一方、病院に併設する訪問看護ステーションは約15%あり、平均利用者数、平均訪問回数、緊急訪問の実施数、重症の利用者の受入れ数のいずれも、そうでない訪問看護ステーションより多い。「地域ケア会議への参加も積極的である」というデータもある。これらを踏まえ、何らかの評価を検討する。
 「併設」の具体的な規定について、厚労省は「物理的な近接性」と説明した上で、今後整理するとした。委員から慎重な意見が出たが、日本看護協会の委員は歓迎した。猪口委員はあわせて、病院からの訪問看護の報酬を手厚くすることを主張した。
 また、退院時共同指導加算は、「特別な関係」にある医療機関と訪問看護ステーションは算定できない。厚労省はこれを見直す考えを示した。猪口委員は、「地域医療連携推進法人の取扱いを整理してほしい」と求めた。
 療養病棟については、今年度末に医療法の看護配置基準の特例措置が期限を迎えることへの対応が課題となる。
 看護配置25対1の取扱いは、20対1を基準にした上で、医療区分2・3の割合にばらつきがある現状を踏まえ、経過措置も含めて、今後も議論が必要である。療養病床を持つ200床以上の病院には、慢性期医療に合った形でのデータ提出を必須化するという案が示された。
 有床診療所は、「地域包括ケアモデル(医療・介護併用モデル)」を位置づける。稼働率の低い有床診の空きベッドを介護サービスとして利用する考えだ。
価格影響が低い分析結果を採用
 費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会(荒井耕部会長)は11月10日、来年度から始まる費用対効果評価の試行的導入について検討。総合的評価(アプレイザル)に関して、企業と厚労省専門組織が行った分析結果が大きく異なったため、価格引下げがより小さくなる方を採用することを決めた。来年度の価格反映は限定的な対応になる可能性がある。
 ただし、厚労省はその後も分析を実施し、最終結果が出た場合、それが2018年4月の価格改定で反映された場合と同等の価格改定を事後的に行うと説明している。

 

全日病ニュース2017年12月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2014年11月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2014/141101.pdf

    2015年1月9日 ... 訪問リハ評価体系の再編も視野. 10月22日の介護給付費分科会に、事務局(厚労省
    老健局老人保健課)は、2015年度. 介護報酬改定で病院・診療所による訪問看護
    報酬を引き上げる方針を示した。訪問看. 護を実施している病院・診療所が年々 ..... 中医
    で議論開始。両側から承認期間の柔軟運用を望む声. 規制改革会議は16年度施行
    の前倒しと協力病院の拡大を要請。厚労省は難色か. 患者申出療養制度(仮称). 10月
    10日に開かれた規制改革会議は. 厚生労働省保険局の担当官を招き、「患.

  • [2] 第739回/2010年9月1日号

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2010/100901.pdf

    8月25日に開かれた中医協総会は、適応外医薬品の保険利用を迅速化するために、検.
    討会議で保険適用が可能との見解が .... また、訪問リハについても「訪問. リハ
    ステーション」の可能性が浮上した。 次回8月30日には、訪問看護やリハは. 区分支給
    限度基準額の対象から外すべ. きではないか、両サービスについては. 医療保険と介護
    保険の給付対象を整理. すべきではないかという論点が取り上. げられる。 24時間訪問
    介護、デイ .... るが、医療・看護のサポートが不可欠と. なる12年度制度改正は、療養
    病床転換.

  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年8月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170801.pdf

    2017年8月1日 ... 本来は中医協の了解を得る. ものではないが、費用対効果評価の仕. 組みにおいては、
    重要な「参照値」と. なるため、費用対効果評価専門部会で. 中医協の「入院医療等の
    評価・調査. 分科会」(武藤正樹分科会長)は7月21. 日、厚生労働省が提示したデータ
    ..... ステーションに比べて低い. 病院・診療所の訪問看護の単価. 訪問看護を実施する
    事業所は2012年. から2016年の5カ年で1.4倍に増えて. いるが、介護保険の訪問看護
    に比べ、. 医療保険の訪問看護を実施する事業所. 数の方が伸びが大きい。

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