全日病ニュース

全日病ニュース

在宅医療のあり方とエビデンスめぐる議論をWGに求める

在宅医療のあり方とエビデンスめぐる議論をWGに求める

【厚労省・全国在宅医療会議】連携モデルの実態を年明けに調査

 全国在宅医療会議(座長・大島伸一国立長寿医療研究センター名誉総長)は11月8日に第3回会議を開催、今後取り組むべき課題について議論した。
 同会議は、地域医療構想と地域包括ケアシステム構築の鍵となる在宅医療提供体制を整えるために、サービス提供者と学術・行政の連携を図る場として設置され、「在宅医療に関するエビデンスの蓄積」「在宅医療の医療連携・普及啓発モデルの蓄積」を当面の重点課題にかかげ、WGを設置して具体的な検討を進めてきた。
 この日は、WGが検討した以下の論点について、議論を求めた。
 ①国民への普及啓発に取り組む手法を具体的に検討する必要がある。
 ②必要なエビデンスについて関係団体が取り組む事業との関係を整理していく必要があるが、そのためには、団体の枠を越えた連携が求められる。
 ③各団体が取り組む在宅医療の研修を、設定目標の違いを明確にした上で整理する必要がある。
 WGの報告を受けて、「モデル事例には在宅を支えるリハも取り上げてほしい」「小児在宅医療も取り上げるべき」「生活支援の視点からレスパイトなどの施設サービスも視野に収めては」といった要望・提案が出された。
 その一方で、「(関係団体で)エビデンスの定義がバラバラではないか」「在宅医療のファクターは複雑。どう区分していくか」「多職種が在宅医療の概念をどう共有していくかが大切」「治す医療ではなく支える医療を基底に置くべきではないか」など、在宅医療のあり方とそれを分析するデータ(エビデンス)の捉え方をめぐって活発な意見を交わした。また、「多職種に共通した中長期目標を設定すべき」との声もあがった。
 全日病名誉会長の西澤寬俊構成員は、「在宅医療をめぐっては職種間で共通した表現に欠ける面がある。ましてや医療と介護の間では概念が大きく異なっており、これをどうしていくか。また、在宅と入院の連携をどう進めていくかということも大切な課題である」と問題提起した。
 同会議は、こうした意見を踏まえ、さらなる議論の深化をWGに求めることを確認した。
 厚生労働省は、在宅医療連携モデル実態調査と「人生の最終段階における医療の普及・啓発等の取組に関する実態調査(自治体)」を2018年早々に実施することを明らかにするとともに、在宅医療に関する公開可能な統計情報を収集し、1,741の基礎自治体別に再集計した地域別データ集をHPに掲載したことを紹介し、「医療連携・普及啓発モデルの構築」に関する各団体の取組みを報告した。これは、在宅医療にかかわる27団体の事業を一覧にしたもので、全日病に関しては、高齢者医療研修会、病院医療ソーシャルワーカー研修会、病院職員のための認知症研修会、病院看護師のための認知症対応力向上研修会、看護師特定行為研修の推進の5事業が紹介されている。

 

全日病ニュース2017年12月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年3月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170315.pdf

    2017年3月15日 ... 在宅医療会議に報告する。あわせて、. 重点分野の取組みに関する関係者の役. 割を
    整理するとともに、全日病を含む. 関係団体の取組み事例を紹介した。 全国在宅医療
    会議は、在宅医療の推. 進に向け、関係者が参集して知見を共. 有。連携して実効性の
    ある活動を目指. すもの。WG はそのための重点分野を. 3回にわたって議論した。特に
    、在宅. 医療における医療連携とエビデンスの. 蓄積に関して、様々な意見があった。
    医療連携に関しては、大規模化した. 在宅医療専門の診療所が中心となる医.

  • [2] 第5章 医療提供体制:「病院のあり方に関する報告書」(2015-2016年版 ...

    https://www.ajha.or.jp/voice/arikata/2016/05.html

    地域一般病棟」をめぐる議論. 「地域一般病棟」の概念は、2001 年9月、四病院団体
    協議会の高齢者医療制度・医療保険制度検討委員会報告書において、全日病を中心に
    まとめられた。その要旨は下記に示す。 急性期医療を担う病院は、急性専門病棟と
    地域一般病棟に分化することが望ましい。 急性専門 ... 生活圏における住民、在宅療養
    中の患者、介護保険施設等の入居者等の軽~中等症の急性期の入院需要に応えるが
    、さらに高度な医療が必要と判断された場合、基幹的病院等に紹介転送する。 ・亜急性
    期(急性 ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。