全日病ニュース

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総合医育成事業で記者発表

総合医育成事業で記者発表

総合医としてのキャリア形成を支援

 全日病は11月10日、厚生労働省内で総合医育成プログラムについて記者発表を行った(前号既報)。会見には、猪口会長のほか、プライマリ・ケア検討委員会の牧角寛郎委員長、井上健一郎常任理事、プログラム作成に加わった筑波大学の前野哲博教授が出席した。
 冒頭、猪口会長が総合医育成プログラムの経緯を説明。地域包括ケアにおける病院の役割を考えると、来年度から養成が始まる総合診療専門医は大きなインパクトがあるとし、「この制度で資格をとった医師が中小病院にきてくれれば非常にマッチングしたものになる」と期待を表明する一方、総合診療専門医が全国に行き渡るには相当の年数を要すると指摘。全日病の会員病院で働く医師が総合医としてキャリア形成することを支援するためにプログラムを検討したと説明した。
 そのあと、井上常任理事がプログラムの概要を説明した。対象は、医師経験が概ね10年以上で、プログラムでの研修を希望するすべての診療科の医師。
 研修期間は1年を基本単位とするが、個々の職場や個人の状況を考え、1~3年の柔軟な運営とする。修了者には、「全日本病院協会認定病院総合医」の認定証を発行する。2018年1月から募集を始め、7月からプログラムの開始を予定している。病院で働く医師は、多様な背景をもっていることから、それに対応するプログラムにしたいと井上常任理事は説明した。
ノンテクニカルスキルを習得
 プログラムは、①指導医の支援による自施設での診療実践②スクーリング(35単位)③eラーニング─で構成されている。
 プログラムのコアになるスクーリングについて筑波大の前野教授が説明した。「プライマリ・ケアの現場で一歩踏み出せる医師」を育成するため、単なる座学ではなく体験型のワークショップで構成し、「確かな力を確実に身につける」ことを目指す。イメージとして、「当直時に適切に対応して、翌日専門医につなぐ」、「日常よく遭遇する疾患の典型例をガイドラインに即して治療する」などの姿を示した。
 スクーリングのもう一つの柱がノンテクニカルスキルだ。ノンテクニカルスキルとは、「組織人としてチームをつくり、人を育て、リーダーシップを発揮して、効果的にタスクをマネジメントするスキル」。医師の働く現場では、組織人としてのスキルが求められるが、医師が体系的にこれらを学ぶ機会は少なく、個人の努力に任されてきた面がある。ノンテクニカルスキルを体系化してトレーニングすることがプログラムの大きな特徴となっている。
 牧角委員長は、高齢者の特徴として多疾病、フレイル、認知機能の低下があるとし、「これに対応するには、従来型の臓器別専門医では立ち行かない。
 総合診療医的な要素を持つ医師が対応しなければならない」と強調した。しかし、総合診療専門医が普及するには5~ 10年かかる。「医療現場は待ったなしだ。臓器別専門医に総合医的なエッセンスを身につけてもらえば、充実した地域医療ができる」と牧角氏は述べて、プログラムの意義を強調した。

 

全日病ニュース2017年12月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年11月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/171101.pdf

    2017年11月1日 ... 猪口委員は、. 「医. 師を新たに配置することによる人件費. 増の病院への影響は大きい。
    専従要件. の緩和を今後議論したい」と主張した。 化の意義はあるとした。 そのほか、
    外科・産婦人科・小児科. 学会から勤務医の労働実態の報告があ. った。外科医の1
    週間当たりの当直を. 含めた労働時間は「80~ ..... 理事長の神野正博委員は、「7対1
    病. 院に戻れないなど、使い勝手が悪いこ. とが利用の少ない ...... 全日病S-QUE e-
    ラーニング教材の現. 状と課題について報告した。指定研修. 機関54のうち34が ...

  • [2] 第706回/2009年4月1日号

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2009/090401.pdf

    臨時理事会は、再開された定期代議. 員会に西澤執行部の誕生と新常任理事. 選出
    結果を報告、定期代議員会はこれ. を満場一致で承認した。続いて開催さ. れた第81回
    定期総会も新年度の理事等. 役員改選と新会長、新副会長、新常任. 理事の各選出
    結果を承認した。 手束昭胤副会長および池田卓郎代議. 員会議長はともに勇退し、
    それぞれ後. 任に道を譲った。 2009年度事業計画は、重要な事業課. 題として、「
    シンクタンクの創設」「公. 益法人制度改革への対応」とともに. 「各委員会の活動の
    見直し・活発化」を.

  • [3] 平成22年度 事業報告・決算

    https://www.ajha.or.jp/about_us/plan/kessan_h22.pdf

    2010年4月1日 ... 4月17日 第1回常任理事会. 救急・防災委員会. 病院のあり方委員会. 全日病厚生会第
    11期第3回理事会. 高知県支部 総会. (高知・総合あんしんセンター). 4月21日 四病協:
    第1回総合部会(日精協). 第1回厚労省・福祉医療機構・四病協合同勉 ...... 6)e
    ラーニング事業. 今年度は、①平成 22 年度に開催した医療安全管理者. 養成課程講習
    会の全講義(21 コマ約 25 時間)を収録. した「講義編」、②RCA、FMEA の手法を解説
    した「演習. 編」の2つのコンテンツを作成した。 7)医療安全管理者養成課程 ...

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