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医師少数地域で働いた医師の認定制度めぐり議論

医師少数地域で働いた医師の認定制度めぐり議論

【厚労省・医師需給分科会】インセンティブとして不十分と神野委員が指摘

 厚生労働省の医療従事者に関する検討会・医師需給分科会(片峰茂座長)は11月22日、医師少数地域に勤務した経験のある医師を厚労省が認定する制度をめぐり議論を深めた。認定された医師でないと一定の医療機関の管理者になれないインセンティブの付与については、地域医療支援病院以外にどの病院まで広げるかが論点になった。
 認定医師であることを診療所の開設要件にすることには賛否両論があった。
 来年度以降に厚労省が示す「医師の偏在の度合い」の指標をもとに、客観的なデータに基づき指定する医師少数区域で勤務した一定期間の経験を評価して認定を行う。一定期間の長さは今後検討するが、臨床研修や専門研修など断続した期間を通算できるようになると見込まれる。
 医師少数地域における勤務を認定されることのインセンティブとして、一定の医療機関の管理者になる要件を位置づける。厚労省は◇地域医療支援病院◇臨床研修病院◇社会医療法人◇公的医療機関◇地域医療機能推進機構(JHCO)をあげて、この中から「限定的な範囲」で、始めることを提案した。
 管理者に関する要件を設定する対象者は「施行日以降」に臨床研修を開始する者とする。
 これに対し、全日病副会長の神野正博委員は、「認定医にいかにインセンティブをつけるかがカギだが、この提案でドライブするとはあまり思えない。
 本当に医師少数地域に医師が行くようにするには、保険医登録の規制まで踏み込む必要があるのではないか。外来のニーズを可視化したとしても、それでドライブするとも考えにくい」と疑問を呈した。他の委員からも、同様の意見が相次いだ。
 一方で、日本医師会の委員は、外来のニーズが可視化されれば、適切な開業が行われると主張した上で、「開業を制限することは相当慎重に考える必要がある」と強調した。
 厚労省は医師偏在の解決策として、診療所の開業規制に手をつけることには慎重な姿勢をみせる。別途検討するインセンティブ対策として、「予算上の措置」や「税制上の措置」も今後あり得るとの考えを示した。診療報酬についても全国一律の点数設定が原則だが、医療資源が少ない地域に一定の緩和措置を講じていることを説明した。

 

全日病ニュース2017年12月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 2017.5.15 No.894 新専門医制度で地域医療へのさらなる配慮求める

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170515.pdf

    2017年5月15日 ... 厚生労働省の「今後の医師養成の在. り方と地域医療に関する検討会」(遠. 藤久夫座長
    )が4月 24日に初会合を開. いた。開始を1年延期した専門医の新. たな仕組みに対し、
    医師偏在の拡大を. 懸念する声が依然としてあることを踏. まえたもの。初会合では、
    日本専門医. 機構の吉村博邦理事長に対し、地域医. 療に配慮する方向で、専門医制度
    新整. 備指針の変更を求める意見が相次いだ。 地域医療への懸念が再び高まる. 新た
    な専門医制度は、今年度の開始. を予定していたが、医師偏在の拡大な.

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年9月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170901.pdf

    2017年9月1日 ... 厚生労働省の「今後の医師養成の在. り方と地域医療に関する検討会」. (遠藤. 久夫
    座長)は8月9日、新専門医制度. への対応を協議した。来年度の制度開. 始を目指す
    日本専門医機構の説明に対. し、委員の多くが理解を示した。ただ. 全国市長会の立谷
    秀清委員(相馬市長). は、新専門医制度が地域医療に悪影響. を与える可能性が
    依然としてあるとの. 考えを表明した。 機構は新専門医制度の開始を当初の. 2017年度
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