全日病ニュース

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人生の最終段階の医療ガイドラインを改訂

人生の最終段階の医療ガイドラインを改訂

【厚労省・人生の最終段階の医療検討会】ACPの考え取り入れ施設・在宅も想定

 「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」(樋口範雄座長)は1月17日、厚生労働省が提示した「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂案を議論した。改訂案に対するパブリックコメントを2月中に募集するが、同日の委員の意見を反映させるかは改めて調整する。
 現行のガイドラインは、主に病院を想定したものだが、地域包括ケアの推進を踏まえ、介護保険施設や在宅でも活用できるものにする。人生の最終段階の医療における患者の意思は変化するので、医療・ケアの方針の話し合いを繰り返すACP(アドバンス・ケア・プランニング)の考えを取り入れることなどが見直しのポイントになる。また、患者が自らの意思を伝えられない状態を想定し、家族など信頼できる者を医療代理人として指定しておくことも重要になる。
 全日病常任理事の木村厚委員は、厚労省の改訂案に対し、「医療だけでなく、ケアも含むので、ガイドラインの表題も変えるべき」、「普及・啓発の意義を含め、ACPを本文に明記すべき」、「独居高齢者が増えることを踏まえ、家族以外の他の者が含まれることを明確化すべきだが、医療代理人の法制化には反対」と3点を指摘した。
 年度内のとりまとめを目指す報告書をめぐっても議論した。
 報告書は、「一定の年齢に達した方が人生の最終段階に受ける医療のあり方を具体的に考えるようになるための普及・啓発策」を示すものとなる。日本医師会の委員は、一定の年齢について「後期高齢者になる75歳が一つの区切りになる」と提案した。
 木村委員は、「普及・啓発は必要だが、日本人は一度ある方向が決まると、みんながその方向に流される傾向がある。
 高齢者の医療はこうでなければいけないという風潮を作らないよう気をつけるべき。ACPなど本人がしっかりと考えられる取り組みが大事だ」と指摘した。
 厚労省はガイドライン改訂と人生最終段階の医療の普及・啓発のあり方の報告書を年度内にまとめる予定。あわせて、意識調査の確定値の結果も報告する。

 

全日病ニュース2018年2月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 厚労省・人生の最終段階の医療に関する検討会> 国民への情報提供に ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20171015/news05.html

    2017年10月15日 ... 国民への情報提供に向け先進事例をヒアリング. 【厚労省・人生の最終段階医療
    に関する検討会】ACPの普及・啓発目指す. 厚生労働省の「人生の最終段階における
    医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」(樋口範雄座長)は9月29日、国民への「
    人生の最終段階」の医療に関する情報提供や普及・啓発に向けた議論を行った。ACP(
    アドバンスケアプランニング)の全国的な普及など、地域の先進事例をヒアリングした。
    厚労省は地域の取り組みの実態調査の結果を示した。それによると、人生の最終 ...

  • [2] 人生の最終段階における医療の 決定プロセスに関するガイドライン 解説編

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2015/150327_3b.pdf

    ガイドラインの趣旨】. 人生の最終段階における治療の開始・不開始及び中止等の医療
    のあり方の問題は、従来. から医療現場で重要な課題となってきました。厚生労働省
    においても、人生の最終段階に. おける医療のあり方については、昭和62年以来4回
    にわたって検討会を開催し、継続的. に検討を重ねてきたところです。その中で行ってき
    た意識調査などにより、人生の最終段. 階における医療に関する国民の意識にも変化が
    見られることと、誰でもが迎える人生の最. 終段階とはいいながらその態様や患者を
    取り巻く環境 ...

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