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医師偏在対策の第二次中間とりまとめを了承

医師偏在対策の第二次中間とりまとめを了承

【厚労省・医師需給分科会等合同部会】片峰座長が談話を発表

 厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会(森田朗座長)と医師需給分科会(片峰茂座長)は12月18日に合同部会を開き、2年に及ぶ議論を経て、医師偏在対策の第二次中間とりまとめを了承した。
 医師需給分科会の片峰座長は同日談話を発表し、「これまでの医師偏在対策とは一線を画する実効性の期待できる提言内容」と強調した。
 医師需給分科会は、2015年12月10日に検討を開始。医師の需給推計を盛り込んだ第1次中間とりまとめを2016年6月15日にまとめ、医師偏在対策については、「全体の医師数の増加だけでは地域や診療科における医師不足の解消につながらない」と指摘。強力な医師偏在対策を求めるとともに、10項目の直接的な対策と4項目の間接的な対策を整理した。
 しかしその後、1年近い休止期間を挟むことになる。「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(渋谷健司座長)が発足したためだ。同検討会は、2016年10月から2017年3月まで集中的に議論を重ね、報告書をまとめた。
 医師需給分科会の第1次中間とりまとめが一定の強制力を伴う対策に踏み込もうとしたのに対し、ビジョン検討会の報告書は、医師の自発的な選択を重視した。このことは第2次中間とりまとめにも反映することになった。
PDCAで医師偏在対策進める
 医師需給分科会は2017年4月20日に議論を再開。年内のとりまとめに向けて集中的な議論を行い、現状で合意できる内容について医師偏在対策をまとめた。
 医師の偏在は長年の課題であり、これまで有効な対策がとられてこなかった。片峰座長が「これまでの偏在対策と一線を画する」と強調する理由は、「客観的な事実に基づき実効性のある医師偏在対策を講じる」としているからだ。今後客観的なデータが都道府県などに蓄積され、政策の立案と実施がPDCAサイクルの中で機能していくことが期待される。
 今回の医師偏在対策は都道府県が責任と権限を持ち、主体的に取り組むことが特徴となっている。都道府県は、「医師確保計画」を策定し、医師の適正配置や労働環境整備、キャリア形成で大きな責任を負う。
 もう一つの特徴は、「これまでの医師の自由意志を尊重した医師偏在対策から一歩を踏み出した」(片峰座長)点である。その一つが、地域医療に従事する医師を国が認定する制度の新設だ。
 医師の自主的なキャリア形成を疎外するという意見もあったが、「最低限の調整制度を導入することで合意を得ることができた」。
 ただし、今回の対策が実効性を持つかは今後の具体策による。また、さらなる抜本策が必要であるかについて早期に検証を行うべきとする意見もある。
 全日病副会長の神野正博委員は、医師不足地域に時間的余裕はないと指摘。
 特に、認定医制度について、医師に対する強いインセンティブを持つ制度設計が必要と強調し、「今回の対策でダメなら医師を増やさなければならない」と訴えた。

 

全日病ニュース2018年2月1日号 HTML版

 

 

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