全日病ニュース

地域医療構想の病床規制で新たな知事権限設ける

【厚労省・医療計画見直し等検討会】人口減で医療需要が小さくなる地域が対象

　厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」（遠藤久夫座長）は１月22日、病院が増床や新規開設を計画する際に、基準病床数に余裕があっても、既存病床数が2025年の病床数の必要量を超えていれば、都道府県知事が許可を与えない権限を法律に設けることで合意を得た。今通常国会での法律改正を目指す。人口減で今後、医療需要が現状よりも小さくなることが見込まれる地域が対象。厚労省はそのような地域が29構想区域あると説明している。
　 厚労省は、同検討会や地域医療構想に関するワーキンググループにおける議論を踏まえ、「既存病床数が2025年の病床数の必要量を上回っている場合は、たとえ基準病床に照らしてアンダーベッドであっても、病院の新設・増床はいかがなものかという結論はありえる」という意見を紹介。基準病床数と病床数の必要量の関係の整理が必要として、新たな知事権限について提案した。
　基本的には、基準病床数は足元の医療需要に応じた病床数であり、地域医療構想は将来の医療需要を想定した病床数である。各都道府県はすでに地域医療構想を策定。2025年の病床数の必要量を計算している。これまでは基準病床数に達しなければ、追加的な病床の整備が可能だが、人口減などで、現状が2025年の病床数の必要量を上回る場合の新たな病床規制となる。
　具体的には、そのような場合に該当する病院が増床や開設を申請する際に、①知事に理由書を提出②調整会議の議論に参加③都道府県医療審議会での説明を行う必要がある。その上で、「やむを得ない理由」として認められなければ、病床は規制される。公的病院であれば、知事は許可を与えない。民間病院であれば「勧告」だが、勧告に従わなければ、保険医療機関の指定で、病床の一部を除外できるようにする。
救命救急センターの評価見直し
　救命救急センターの充実段階評価の見直しを了承した。見直しでは、新たに「Ｓ評価」を設けて４段階評価とし、見直し後は改善を求めるべく、段階的に評価基準を引き上げる方針だ。新たなＳ評価は100点満点の評価点で90点以上かつ是正を要する項目数がゼロである場合。現行の救命救急センターでは3.8％、11病院が該当するという。
　見直し後は、段階的に評価基準を引き上げる。是正を要する項目数を段階的に厳しくするとともに、全項目が適切に行われていれば90点になる現行の評価基準も引き上げていく。委員からは、充実段階評価が補助金や診療報酬にも反映されていることから、厳格な対応を求める意見が出た。
　また、第７次医療計画が来年度から始まることを踏まえ、都道府県が計画期間中に、５疾病・５事業の定期的な取組み状況を確認することも了承した。
　ホームページなどに掲載し、状況を関係者が広く共有できるようにする。