全日病ニュース

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地域医療構想の議論の進め方を関係者で議論

地域医療構想の議論の進め方を関係者で議論

【厚労省・2018年度医療計画研修会】地域医療介護総合確保基金の配分示す

 厚生労働省は2月9日、医療計画策定研修会を開催した。都道府県関係者や地域医師会、大学関係者などが集まり、地域医療構想の進め方などを議論した。会場からは、公立・公的病院の過剰病床を整理する実効性のある取組みを求める意見が相次いだ。また、地域医療介護総合確保基金を配分する具体的な事業内容の事例が示された。
今年度中の協議入りを求める
 厚労省は、地域医療構想の進め方に関する2月7日付けの通知の内容を説明。今年度中に地域医療構想調整会議が、具体的な対応方針の協議に入ることを求めた。政府の経済財政諮問会議は昨年、地域医療構想調整会議で、2年間の集中的な議論を行い、具体的な病院名をあげて、医療機能の分化・連携の道筋を示す方針を示した。厚労省は、結論に時間がかかることは考慮しつつ、議論の開始をできるだけ早めたい考えだ。
 公立・公的病院は、調整会議の前に改革ガイドラインを策定し、調整会議に提出しなければならない。その場合に、民間病院では担えない政策医療が期待されていることから、民間病院との役割分担を確認し、公立・公的病院だけが担える機能に重点化されているかを関係者が了解する必要があるとしている。
 今後の人口減少で地域により医療需要は小さくなると予想される。調整会議は将来の医療需要を見込み、関係者で調整する仕組み。病床機能報告制度で、過剰になると見込まれる医療機能への病床転換を考えている病院や、新たな開設・増床を計画する病院があれば、調整会議への出席と説明を求める。
 協議が調わない場合の都道府県知事の権限も定められている。研修会ではこれらの内容について説明があった。
 医療機能については、特に回復期について、昨年9月29日の事務連絡を参照することを求めた。
 地域医療構想の医療機能別の病床数の必要量の推計で、急性期と慢性期が過剰で、回復期が不足という結果が多くの地域で出ている。このため回復期に相当する診療報酬である回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟への転換が公立・公的病院で増えていて、問題視されている。事務連絡は、全国的に回復期が不足している状況ではないと指摘。診療の実態に応じた病床機能報告を求めた。
補助金・繰入金の活用状況を開示
 また、経営主体の異なる病院の役割分担を考える上で、「個別の医療機関ごとの地域医療介護総合確保基金を含む各種補助金や繰入金等の活用状況を開示すること」と明記した。民間病院には原則公的な財政支援がないが、公立・公的病院には財政支援がある。両者の役割が重なり、競合している状況を調整する上で公平な議論を求める考えだ。
 地域医療介護総合確保基金は、医療分で2018年度の財源が例年より30億円分多い934億円になったことを報告した。30億円分については、「居宅等における医療の提供」と「医療従事者の確保」の事業に使う。ただし全体のうち500億円は地域医療構想達成のための施設整備などに用いる。
 また、30年度は例年8月頃まで遅れてしまう内示を早めるため、29年度中に調整を進めるとした。3月中旬から4月中旬にかけて、都道府県別の個別ヒアリングを実施する。
 医師偏在対策では、調整中のものを含め医療法改正案の概要を示した。