全日病ニュース

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オンライン診療でガイドライン案を議論

オンライン診療でガイドライン案を議論

【厚労省・ガイドライン作成検討会】情報機器のセキュリティ環境を例示

 厚生労働省の「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会」(山本隆一座長)は3月9日、ガイドライン策定に向け議論を進めた。年度内に再度検討会を開き、とりまとめる予定だ。ガイドラインの対象となるオンライン診療を定義するとともに、実施に当たっての留意事項を整理した。
 オンラインの通信機器のセキュリティに関しては、医師と患者・家族それぞれの状況に応じたケースを例示している。
 ガイドラインの対象は、オンライン診療となる。オンライン診療とは、遠隔医療のうち、医師対患者が情報通信機器を通して、診断結果を伝達するなど診療行為をリアルタイムで行うものと定義した。遠隔医療はより包括的な概念で、情報通信機器を用いた健康増進なども含む。診療科の選択など最低限の医学的判断を伴うオンライン受診勧奨や医学的判断を伴わない遠隔医療相談はオンライン診療と異なるものと位置付けた。
 オンライン診療は、医師と患者に直接的な関係がすでにある場合に限り、実施されることを想定しているので、原則として初診は対面診療で行われる。
 その後も、同一の医師による対面診療を適切に組み合わせることを求めている。医師は患者・家族にオンライン診療の利点と生じる恐れがある不利益を事前に説明しなければならない。研究目的や医師側の都合で行ってはならない。
 対面診療を原則とすることについては、禁煙外来など疾病を見落とすリスクが小さく、治療に伴うリスクも極めて低いものに限って、対面診療を伴わなくても「オンライン診療を行うことは許容される」とした。
 オンライン診療は対面診療に比べると、得られる情報に限りがある。可能な限り多くの診療情報を得るために、「リアルタイムの視覚および聴覚の情報を含む情報通信手段を採用すること」とし、補助的な手段として、画像や文字などによる情報のやり取りは妨げないとしている。
 医師のほかに医療従事者がいる場合は、その都度患者に説明し、同意を得ることが必要になる。
 場所については、医師は必ずしも医療機関にいる必要はない。ただし医療情報を保護する観点から、公衆の場でオンライン診療を行うべきではないとしている。物理的に外部から隔離される空間である必要がある。
 患者については「居宅等」としている。老人福祉法に規定する養護老人ホームなどのほか、医療を受ける者が療養生活を営むことができる場所と定義される。患者の事情により、勤務する職場や宿泊するホテルも認められると例示した。
情報漏洩防ぐ対応図る
 情報セキュリティを確保する通信環境については、「医療情報を保存するシステムとの接続を行わないケース」と「医療情報を保存する他システムと接続・連携するケース」に分けて整理した。医療情報を保存するシステムと患者の端末が接続していると、患者の医療情報が第三者に漏洩するリスクがあり、防止対策が必要になる。
 その場合は、厚労省・総務省・経済産業省が作成した情報セキュリティ対策ガイドライン(3省4ガイドライン)が準用される。
 情報セキュリティに関しては、委員から様々な意見が出た。スマホやパソコンなど患者の端末が安全であることを確認するのは困難なので、患者の医療情報と接続しないオンライン診療が望ましいとする意見などが出た。
 これらを踏まえると、医師は情報通信機器の使用方法や情報セキュリティに関する知識が求められることになる。
 委員からは、研修の実施に関する文言を追加するよう要望があった。

 

全日病ニュース2018年4月1日号 HTML版

 

 

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  • [1] オンライン診療でガイドラインを作成|第912回/2018年3月1日号 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180301/news04.html

    2018年3月1日 ... オンライン診療ガイドラインを作成|第912回/2018年3月1日号 HTML版。21世紀
    の医療を考える「全日病ニュース」は、全日本病院協会が毎月1日と15日に発行する
    機関紙です。最新号から3ヶ月前まではヘッドライン版を、3か月前 ... 例えば、2015年の
    事務連絡では、離島・へき地での遠隔診療だけを認めるそれまでの限定を外した。2017
    年の通知では、一定の条件の下であれば、対面診療を行わなくても医師法違反に
    ならない考えを示した。 こうした解釈の変更は、法令に違反しないことを示す ...

  • [2] について(厚生労働省医政局長:H30.3.30)

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180410_12.pdf

    2018年3月30日 ... I オンライン診療を取り巻く環境. 近年、情報通信機器は、その技術の飛躍的な進展
    とともに、急速な普及が進んで. いる。 情報通信機器を用いた診療については、これまで
    、無診察治療等を禁じている医. 師法(昭和 23 年法律第 201 号)第 20 条との関係
    について、平成9年の厚生省健康. 政策局長通知で ... 医療情報システムの安全管理
    に関するガイドライン」を公表し、累次の改正を行. ってきている。 ..... オンライン診療
    においては、対面診療に比べて得られる患者の心身の状態に関. する情報が限定され ...

  • [3] 疑義解釈資料の送付について

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180402_11.pdf

    2018年3月30日 ...オンライン診療料】. 問6 区分番号「A003」オンライン診療料を算定する場合、
    オンライン診療. 料対象管理料等を初めて算定してから6月の間は、毎月同一医師
    による対面診. 療を行う必要があるが、当該6月の間で、同一の疾患に対して継続的に
    診療を. 行っているが、算定した管理料 ... と対面診療を行っていればよい。 問9
    オンラインによる診察を行う患者が、二つの保険医療機関に別々に受診し ..... る
    ガイドライン」等の内容を踏まえ看取りに対する指針を定めている」とある. が、具体的に
    はどのような ...

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