全日病ニュース

全日病ニュース

2025年に向けた関係団体取組みの中間目標を議論

2025年に向けた関係団体取組みの中間目標を議論

【厚労省・全国在宅医療会議WG】地域医療構想等との関係で疑問も

 2025年に向けて実効的な在宅医療を推進するための方策を議論している全国在宅医療会議は3月7日にワーキンググループ(WG、新田國夫座長)を開き、厚生労働省が提案した中間目標案について検討した。
 同WGは、在宅医療について、関係団体が進める長期的取組みの共通目標として①医療連携モデルの構築、②普及啓発モデルの構築、③エビデンスの構築をあげ、これらの重点項目に向けて、より具体的な中期目標を設定する方向で議論を進めてきた。
 この日の会合に厚労省は、前回(12月8日)以降に関係団体から提出された「実施している取組みと新たに感じる課題」を整理した結果として7点にわたる課題(表参照)を示し、これらを中間目標とすることを提案。
 さらに関係団体に対して、①今後の団体活動方針、目標を中間目標に沿って立案・実行していく、②中間目標への取組みと成果に関する自己評価を1年に1度、全国在宅医療会議に報告することを提案した。
 また、「普及啓発モデルの構築」に関して、前出の各団体からの報告には該当事例が少ない上に、団体の枠を越えて取り組むべき重要な課題であることから、その具体的な進め方は小グループを構成して議論してはどうかと提案した。
 厚労省の提案に対して賛同する意見が多かったが、中間目標案に対しては、複数の構成員から、「在宅医療・介護の取組みは地域医療構想(調整会議)や診療報酬などの面から進められているので、屋上屋とならないか」、「目標設定によって医療計画の議論に影響を与えることは可能か」などの疑問や意見が示された。また、在宅医療や介護にかかわる各種検討会の議論や政策展開が進む中で、全国在宅医療会議がどういう位置づけを持つのか明らかにするよう求める意見があった。
 これらの意見に対して、厚労省は「中間目標は各団体が取組みを進めていく上での旗印と考えてほしい」と説明した。また、同会議が司令塔の役割を果たすことは否定する一方で、「必要な意見があれば当該検討会等に伝えることになる」と述べ、その上で、「この辺りの関係はあらためて整理して示す」と答えた。
 こうした議論を踏まえて新田座長は、「全国在宅医療会議に提案するに当たっては、文言を含め、厚労省とよく協議したい」と述べ、中間目標案を座長預かりとすることでWGの了承を得た。
3~4月に基金のヒアリング実施
 この日のWGに、厚労省は地域医療介護総合確保基金の2018年度予算案について、公費ベースで1,658億円(医療分934億円。うち国分は622億円、介護分724億円。うち国分は483億円)であると報告。また、すでに都道府県関係者からのヒアリング等を始めているが、正式には3~4月にかけて国による都道府県ヒアリング等を実施し、8月に交付要綱等の発出と都道府県への内示、9月に都道府県計画の提出という日程であることを明らかにした。

 

全日病ニュース2018年4月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 在宅医療推進の基本的な考え方と「重点分野」を了承|第891回/2017 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170401/news08.html

    2017年4月1日 ...厚労省・在宅医療会議】 各団体の活動の集約化が課題に. 厚生労働省全国在宅
    医療会議(大島伸一座長)は3月15日、在宅医療推進のための基本的な考え方と「重点
    分野」を了承した。「重点分野」は、①在宅医療に関する医療連携、普及啓発モデルの
    蓄積②エビデンスの蓄積の2点で、各団体が今後、「 ... 全日病も現に実施している
    取組みとして、「看護師特定行為研修」や「サービス付き高齢者向け住宅における介護・
    医療ニーズへの対応能力に関する評価手法に関する調査研究」などを説明した。

  • [2] 厚労省・在宅医療WG> 在宅医療専門診療所のモデル化に反対

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170301/news10.html

    2017年3月1日 ... 在宅医療専門診療所のモデル化に反対. 【厚労省・在宅医療WG】 地域の取組み
    ヒアリング. 厚生労働省の「全国在宅医療会議ワーキンググループ」(新田國夫座長)は2
    月16日、在宅医療に関するエビデンスや医療連携、普及啓発モデルの蓄積に向け、
    議論を行った。医師4名以上の診療所で、重症患者の在宅医療や看取りを24時間体制
    で実施する事例の紹介があったが、在宅医療専門の診療所は、あくまでかかりつけ医が
    提供する在宅医療の補完的役割との観点から、「全国的に普及させる在宅 ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。