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高齢者の医薬品適正使用指針を了承

高齢者の医薬品適正使用指針を了承

【厚労省・高齢者医薬品適正使用検討会】

 厚生労働省の「高齢者医薬品適正使用検討会」(印南一路座長)は3月9日、ワーキンググループが作成した「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」を了承した。日本老年医学会等のガイドラインを参考に、65歳以上の高齢者の薬物有害事象の回避、服薬アドヒアランス(理解したうえの服薬遵守)の改善、過少医療の回避を目指した基本的留意事項をまとめた。
 4月中旬に通知として発出して全国の医療機関に周知する。検討会は今後、疾患領域別または療養環境別の指針(詳細編)を作成し、来年1~3月に最終報告をまとめる予定だ。
 今回まとめられた指針は、学会の既存のガイドラインから情報をピックアップして横断的に作成し、現場で理解しやすくした。このため、ガイドラインでなく指針と位置づけた。
 指針は、多剤服用の中で有害事象につながるものをポリファーマシーとし、多剤投与とポリファーマシーを使い分けている。ポリファーマシーの是正に当たっては、一律の剤数や種類数のみに着目するのではなく、安全性の確保からみた処方内容の適正化を求めた。
 有害事象の早期発見には、多職種からの情報収集が有用であるため、多職種で情報を共有し、確認の上で処方の適正化を行っていくことを推奨した。
 処方を適正化するためのフローチャートを示し、各薬剤の適応を再考するポイントとして、①予防薬のエビデンスは高齢者でも妥当か②対症療法は有効か、薬物療法以外の手段はないか③治療の優先順位に沿った治療方針か─をあげた。
 処方の適正化の検討では、中止可能な薬剤はないのか、適応疾患や適正用量が推奨される範囲か、患者の病状改善に有効だったか、有効性や安全性の高い代替薬への変更は可能かを判断することを求めている。
 処方の見直しのタイミングとしては、とくに退院・転院、介護施設への入所、在宅医療の導入などの療養環境の移行時に、継続的な管理を見据えて見直しを行うことを求めている。

 

全日病ニュース2018年4月1日号 HTML版

 

 

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