全日病ニュース
診療報酬での補てんに備え準備進める
診療報酬での補てんに備え準備進める
【中医協・消費税負担に関する分科会】消費税10%への引上げの対応
医療機関などの控除対象外消費税の問題に対応するため、中医協の「診療報酬調査専門組織・医療機関等における消費税負担に関する分科会」(荒井耕分科会長)が3月30日、2年ぶりに開かれた。2019年10月に予定される消費税率引上げに際し、税制上の取扱いで対応するか診療報酬で対応するかはまだ決まっていない。中医協としては、診療報酬への補てんが求められる場合に備え、必要な調査の実施など準備を進める方針だ。
これまで控除対象外消費税の問題に対しては、診療報酬への補てんで対応してきた。しかし病院団体としては、医療機関の特性により不公平が生じていることや、高額投資に対する補てんが十分でないなどの理由で、かねてから税制で問題の解決を図ることを主張してきた。2018年度税制改正大綱でも、「2019年度税制改正に際し、税制上の抜本的な解決に向けて総合的に検討し、結論を得る」としている。
しかし、消費税引上げの対応をめぐっては不確定な要素が多いことから、厚生労働省はこれまでのように診療報酬で補てんする場合に備え準備を進める方針だ。この日は、補てんを行う際に必要となる薬価調査と特定保険医療材料価格調査について、2018年度診療報酬改定で実施した2017年調査と同様のスケジュールで実施することを決めた。
医科については、延期となった2017年4月の消費税引上げに向けた議論でも、医療経済実態調査は改めて実施しなかったことや、過去5年間の課税経費率の変動が少ないことから、新たな調査を行わずに、2018年診療報酬改定で実施した医療経済実態調査の結果を用いることを了承した。
2013年には、医療機関の高額投資について、診療報酬への補てんとは別の対応を検討するため、設備投資調査を実施している。しかし診療報酬への補てんだけを考えれば、設備投資調査は必要がないほか、これまでの議論で課題となった「年度による変動が大きい」、「個別の診療行為との対応関係が明確でない投資が大宗を占める」などの事情は、再度調査を行っても変わらないと考えられることから、実施しない方針を示した。
過去の補てんの状況を確認
厚労省がこれまでの経緯を説明した。
医療機関の控除対象外消費税とは、通常の事業者であれば、商品に含まれる仕入れ段階の消費税は、消費者価格に転嫁されるのに対し、社会保険診療が非課税であるために、仕入れ段階の消費税を医療機関などが負担することになってしまう問題。消費税導入後の3%、5%、8%の各段階では、診療報酬への補てんで対応してきた。
全体改定率をみると、3%導入時は0.76%、5%引上げ時は0.77%の診療報酬の引上げとした。基本的には、人件費や他の非課税品目を除く課税経費に引上げ分を反映させる形となっている。ただし影響が大きいと考えられる個別診療報酬項目の点数を引き上げる手法を取ったため、その後の改定で項目の再編や廃止などがあり、補てん状況が検証できなくなってしまった。
8%の段階では、このような経緯を踏まえ、基本診療料・調剤基本料を中心に上乗せを行った。全体改定率は、1.36%となっている。別に基金を創設し、高額投資に対して消費税負担の手当てを図ることも検討されたが、見送れらた。
2015年には、消費税8%への引上げに伴う補てん状況の調査を行っている。
全体の補てん率は102.07%、補てん差額は54億円で、100%以上の補てんが行われていることを確認した。内訳は、病院が102.36%、64万9千円(1施設当たり年間)、一般診療所が105.72%、4万4千円、歯科診療所が100.68%、2千円、保険薬局が86.03%、▲4万1千円となっている。
病院のうち、一般病院は101.25%、34万3千円、精神科病院は134.47%、331万4千円、特定機能病院は98.09%、▲454万円、子ども病院は95.39%、▲451万8千円で、ばらつきがある。なお、個人診療所は129.98%で、16万1千円である。委員からは、「医療機関の特性により、補てん率に過不足が生じることのない対応が必要」との意見が出た。
また、厚労省は医療機関の費用構造の推移を示した。病院の状況をみると、課税経費率は過去5年間で25~ 28%で推移し、安定している。2016年度は27.8%だった。これに医薬品費比率と特定保険医療材料比率を加えた2016年度の補てん対象経費は、45.9%と全体の5割を若干下回る。
全日病ニュース2018年4月15日号 HTML版
[1] 診療報酬と別建で高額投資消費税を補填する案を否定|第798回 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20130401/news05.html
2013年4月1日 ... 分科会は、今後、3%の引き上げ分をすべて診療報酬で補填する方法を含め、具体的な
補填方法の検討を進める。 中医協・診療報酬調査専門組織の「医療機関等における
消費税負担に関する分科会」が3月18日に5ヵ月ぶりに開かれ、医療 ...[2] 支払側・診療側 「診療報酬への上乗せ対応は限界」で一致|第861回 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20151215/news03.html
2015年12月15日 ... 支払側・診療側 「診療報酬への上乗せ対応は限界」で一致|第861回/2015年12月
15日号 HTML版。21世紀の医療を ... この結果を踏まえ、分科会は、中医協総会に「3
%分はマクロでは補てんされていることが確認されたものの、補てん ...
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