全日病ニュース

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南海トラフ地震の対応やDMAT事務局体制の見直しを議論

南海トラフ地震の対応やDMAT事務局体制の見直しを議論

【厚労省・救急・災害医療提供体制の検討会】

 厚生労働省の「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」は4月6日、初会合を開催した。ドクターヘリの整備やDMAT事務局の見直しなど今後の救急・災害医療提供体制を協議し、来年度予算の概算要求にも反映させる。座長には国立社会保障・人口問題研究所所長の遠藤久夫氏を選出した。
 検討会では、出動件数が増加しているドクターヘリの安全運航や救命救急センターを含む救急医療提供体制を議論するとともに、災害医療について今後発生が予想される南海トラフ地震や首都圏直下地震にも対応できる体制構築に向けて厚労省のDMAT(災害派遣医療チーム)事務局の組織・運用や広域災害・救急医療情報システムのあり方を協議していく予定だ。初会合では、救急・災害医療提供体制の現状を討議した。
 日本医療法人協会会長の加納繁照構成員は、「都会では高齢者の救急医療が増えているが、民間医療機関の役割が重要。都会での救急医療体制のあり方を議論すべき。災害医療でも災害拠点病院だけでなく、民間病院が災害支援病院としての役割を担っている」と民間病院の重要性を訴えた。
 全日病常任理事の猪口正孝構成員は、「救急医療情報キットがあるが、アナログすぎるし、更新も難しい。入院中の情報を退院後にかかりつけ医や地域包括ケアで活用することが重要であり、救急医療は命にかかわる問題なので、この機会にICTを活用したEHR(電子健康記録)を進めてほしい」と述べた。
DMAT事務局体制を見直し
 この後、DMAT事務局の現状と課題を議論した。DMAT事務局の担当者から業務内容や人員体制の報告を受けるとともに、厚労省から論点が示された。
 DMATは平時の業務として、日本DMAT検討委員会の運営事務やDMAT研修の実施・各地の訓練の管理、DMAT隊員の登録・更新などを行っているほか、災害時の業務では、DMAT派遣に関する調整、DMAT活動方針の決定、各DMATへの情報提供などを実施している。
 DMAT事務局は現在、東京と大阪の2か所に置かれている。東京・立川市の災害医療センターは23名体制で常勤4名(医師2名)、大阪市の大阪医療センターは10名体制で常勤4名(医師2名)の体制。いずれも常勤医師は併任で非常勤職員が多く、脆弱な体制であることが示された。
 こうした現状を踏まえ、厚労省は論点として、①DMAT事務局の非常勤職員での対応など体制の見直し②DMATを外部からバックアップする人材が集まる組織・仕組みの構築③DMAT事務局の新たな役割の付与―の3点を提案した。
 構成員からは「非常勤職員が多く、改善が必要」、「いずれは各ブロック、各都道府県に置く方向も検討すべき。
 当面は2つの拠点の人数と質を充実すべき」、「常勤職員を置くことで、新たな役割として急性期だけでなく慢性期の部分まで対応すべき」などの意見が出た。

 

全日病ニュース2018年5月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 第760回/2011年8月1日号

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2011/110801.pdf

    ⑦医師事務作業補助体制加算の対象病 ..... を示した。 事務局(厚労省保険局医療課)
    は、. 2011年 .... 災害医療等のあり方に関する検討会 DMATがヘリコプター、救急車両
    、医薬品、衛星電話をもってきた. 「東日本 ..... 長を務めた遠藤久夫氏(学習院大学教.

  • [2] 第791回/2012年12月1日号

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2012/121201.pdf

    検討会で厚労省は、社保審医療部会が昨年12月にまとめた「医療提供体制の改革に関
    . する意見」を踏まえ ... 事務局(総務課)は1年間をめどに報告 .... 委員は遠藤久夫
    学習院大経済学部教 ..... 救急・防災委員会「東日本大震災の経験を踏まえた東京都
    災害医療計画の概要と病院のBCP作成のポイント」 ..... 次圏ごとに全国からくるDMAT
    の受援.

  • [3] 第754回/2011年5月1日号

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2011/110501.pdf

    事務局(厚労省保険局医療課)は、薬. 剤師については ... 任期満了で退任した遠藤久夫
    氏(学習院 ..... のチェック体制、実証事業を担当する担 ... 院、医師会、各地から来た
    DMATや .... 一般病棟での救急対応であるが、13対1の7割、15対1の5割強が救急
    告示.

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