全日病ニュース

がん診療連携拠点病院の指定要件を見直し

【厚労省・がん診療提供体制のあり方検討会】来年４月から新規指定

　厚生労働省の「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」（北島政樹座長）は４月11日、がん診療連携拠点病院等の指定要件の見直しに関する報告書を座長一任で了承した。診療機能により拠点病院を分類するとともに、新たに医療安全体制の確保を要件に追加した。早ければ６月にも改定した指定要件を通知し、来年４月から新しい整備指針に基づき新規指定を行う。
　同検討会の下に設置した「がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ（WG）」が３月にまとめた報告書について議論した。
　現行の整備指針では、都道府県がん診療連携拠点病院（都道府県拠点病院）は都道府県に１カ所、地域がん診療連携拠点病院（地域拠点病院）は２次医療圏に１カ所が原則。しかし、都道府県の医療計画で、がんの医療圏を２次医療圏とは異なる圏域に設定することが可能となったため、報告書では、今後はがん医療圏に地域拠点病院を１カ所整備することを原則にすべきとした。
　地域拠点病院は、診療機能によって３つに分類する。
　「地域がん中核拠点病院（仮称）」は、指定要件上の必須要件に加えて、望ましいとされている要件を複数満たし、同一医療圏のうち診療実績が最も優れている病院とする。
　「地域がん診療連携拠点病院」は、指定要件上の必須要件をすべて満たした病院。「準地域がん診療連携拠点病院（仮称）」は、2021年４月以降、前記２つの病院が指定要件の必須要件を満たさなくなった病院と位置づける。
　地域拠点病院をがん医療圏に原則１カ所設置する方向性に対し全日病副会長の神野正博構成員は、「人口構造や周辺環境が変化しているため、これまでの２次医療圏にこだわるべきではない。がん医療圏を原則とする考え方はいい。がん医療圏に１つ以上あれば、過疎化が進んだ医療圏を抱える地域でもおそらく対応できる」と賛同した。
医療安全体制の確保を新設
　また、整備指針に医療安全体制の確保の項目を新設する。
　都道府県拠点病院、地域拠点病院、特定領域がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院のいずれについても医療安全管理部門の設置や医療安全管理者の配置、医療安全に関する窓口の設置について要件を設ける。
　医療安全の問題に関連し、WGの報告書で「第三者評価等を活用することが望ましい」と明記されたことに対し、日本医師会の構成員が「検討会では第三者の目を入れるべきと発言してきた。
　活用が望ましいではなく、活用すべきにしてほしい」と要望した。
　この発言に神野構成員は賛意を示した上で、「がん拠点病院でなくとも、診療報酬の医療安全対策加算で４月からの改定でピアレビューできるように医療安全対策地域連携加算が新設された。こうした加算で対応してもいいのではないか」と提案した。