全日病ニュース

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診療報酬・介護報酬改定、介護医療院をテーマに特別講演

診療報酬・介護報酬改定、介護医療院をテーマに特別講演

【支部長・副支部長会】介護医療院転換でシミュレーション示す

 全日病は3月31日、臨時総会の終了後に支部長・副支部長会を開き、特別講演を行った。猪口雄二会長が診療報酬改定について講演し、改定の留意点について解説したほか、木下毅常任理事が介護報酬について、土屋繁之常任理事が介護医療院について講演した。
救急医療管理加算をめぐる経緯
 今回の診療報酬改定では、入院医療の評価体系が大きく変わった。また、DPCデータを活用して測定する「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」が導入されたことも特徴の一つだ。
 猪口会長は、DPCデータの活用をめぐり、救急搬送の入院の取扱いが問題になった経緯を説明した。「A8救急搬送後の入院」を「A205 救急医療管理加算1該当患者」に置き換える案があったが、軽症の患者で救急医療管理加算が算定されていることが入院医療分科会で話題となり、全国で救急医療管理加算が査定されるようになった。
 救急医療管理加算は、二次救急において重要な項目であることから引き続き検討することとし、今回は議論しないことになり、その結果、レセプトの査定は少なくなっている。猪口会長は、それでも地域によってはまだ多くの査定が行われているとして、情報提供を求めた。
 地域包括ケア病棟では、地域包括ケアに関する実績を評価することになったが、「蓋を開けてみるとなかなか厳しい」要件となっている。「在宅患者支援病床初期加算」は300点になったが、治療方針について患者・家族の納得を得る必要がある。
 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を踏まえて看取りの方針を定めることが求められるが、看取りの際の対応をまとめた文書を用意しておく必要がある。地域包括ケア病棟以外にも、在宅から療養病棟に入院する場合や、訪問診療や訪問看護でターミナルケアの加算を算定するときも必要だ。
 回復期リハビリテーション病棟入院料では、入院料1と2のように人員配置が同じ場合は、どちらか一つにしなければならない。入院料1と2を届け出ることはできないが、入院料1と3を届け出ることはできる。
 療養病棟入院基本料で複数の病棟がある場合、療養病棟入院料1か2のどちらかにしなければならない。全部の病棟を入院料1にすることが難しい場合は、経過措置1と組み合わせることができる。
 猪口会長は、3月30日に示された疑義解釈を確認し、漏れのないようにしてほしいと呼びかけた。
老健施設は苦しい立場に?
 木下常任理事(高齢者医療介護委員会委員長)は、介護報酬改定について講演した。
 介護療養型医療施設の基本報酬は変わっていないが、重度者要件が加わり、算定日が属する前3月において、「喀痰吸引若しくは経管栄養が実施された者の占める割合が15%以上」または「専門医療を必要とする認知症高齢者の占める割合が20%以上」のいずれかを満たすことが求められる。
 介護老人保健施設の報酬は大幅な変更となり、在宅復帰・在宅療養支援の拠点としての役割が明確化された。木下常任理事は、「介護保険施設で在宅扱いとならないのは老健施設だけとなり、介護医療院ができると苦しい立場になる可能性がある」とコメントした。
 続いて介護医療院協議会の議長を務める土屋繁之常任理事が介護医療院の報酬・基準について説明するとともに、介護療養病床から介護医療院に転換した場合の収支のシミュレーションを示した(介護医療院の報酬については全日病ニュース3月15日号2面を参照)。
 シミュレーションは、介護療養病床20床・医療療養病床29床(療養環境加算1)の施設が転換するケースを想定。
 全病床を医療療養病床に転換すると年間で約1,500万円の増収になるが、全病床を介護医療院に転換すると1年目2,200万円の減収、2年目以降3,800万円の減収となる。余剰人員の有効活用や地域包括ケア病床の在宅復帰先として活用しても減収となる結果で、経営上は医療療養病床に転換することがベストの選択となる。
 しかし、土屋常任理事は、①厳しくなると予想される医療区分を維持できるか②医師、看護師、介護士のスタッフを確保できるか③医療療養病床の需要があるか─を考える必要があると指摘。「介護医療院の活用方法としては、現在の機能をどのように有効活用するかがベースになる」とコメント。介護医療院の有効活用について議論し、会員に情報提供していきたいと述べた。

 

全日病ニュース2018年5月1日号 HTML版

 

 

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    https://www.ajha.or.jp/about_us/plan/2018.pdf

    定、療養病床の受け皿となる介護医療院など、日本中の病院が直面しなければ
    ならない諸問. 題が山積して ... また、夏期研修会は、平成 30 年8月 26 日(日)愛知県
    支部(木村衛支部長)において開. 催する。 ..... 支部長・副支部長会は、年2回開催する。
    開催の ...

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2018年3月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2018/180301.pdf

    2018年3月1日 ... を中心にした切れ目のない医療・介護. 体制を確保 ... 録し在院時間を的確に把握◇
    医師への. 周知を含め ... る救急医療管理加算の要件見直しがな. かったこと ... 正博副
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    2018年1月11日 ... 域医療構想や診療・介護報酬同時改定、. 医師の働き方 ... を踏まえ、「各支部の意見を
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    (2 .... 一定期間の長さは今 .... て、介護医療院が創設されるとともに、.

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