全日病ニュース

「医師の働き方改革」について（要望）
１．医師の働き方改革においては、以下について十分に議論されるべきである。
・労働衛生における十分な配慮、および女性医師の勤務環境整備が重要である。
・救急医療、産科医療、僻地医療等においては24時間体制で医師の対応が必要である。現状の医師数でも、これらを維持することが困難な状況であり、一方的に医師の勤務時間を制限するとこれらの医療は崩壊する可能性が高い。十分な実態調査に基づく現状把握を行う必要がある。
・医師の働き方改革は、医師の需給・偏在対策、専門医のあり方などと極めて相関するものであり、拙速な働き方のみの規制は行うべきではない。
・自己研鑽は、医療法第１条の４で求めている「良質かつ適切な医療を行う」ことを長期的に確保していくための大前提である。自己研鑽を抑制するような規律を設けるべきではない。
２．医師の働き方および適正な医療提供体制の創設のため、以下を要望する。
・医師の働き方については、医師の労働の特殊性を明確にしたうえで、現行の労働法制とは異なる独自の医師労働法制を制定することを要望する。
・臨床研修医、専攻医（専門医研修期間）は、医師としての研鑽を積む重要な期間である。この期間を労働法制から除外し、労働時間を総合的・横断的に検証するための医療界が自主的に運営するシステムの検討を要望する。
・専門医の養成においては、医療需要を見据えた国全体の適正数および配置の設定を検討すること、また、超高齢社会や疾病構造の変化より総合的な臨床医の大幅な増員を検討することを要望する。
・医師の働き方改革には、タスクシフティングが欠かせないことから、医師法、医療法の見直しを含め、医師事務作業補助者のさらなる活用、特定行為研修を修了した看護師の養成はもとより、救急救命士等、他の医療従事者の業務拡大、PA（PhysicianAssistant）制度、NP（Nurse Practitioner）制度等の整備を行うことを要望する。