全日病ニュース

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診療報酬改定附帯意見に沿って調査・検証を開始

診療報酬改定附帯意見に沿って調査・検証を開始

【中医協総会】地域加算では経過措置を延長

 中医協総会(田辺国昭会長)は4月25日、2018年度診療報酬改定の影響を検証し、次期改定の議論につなげるため、調査を実施し検討する場などを整理した。改定答申の附帯意見に沿って、個別項目ごとに「入院医療等に関する調査・評価分科会」や「診療報酬改定結果検証部会」など検討する場を振り分けた。また、地域加算について、2017年度末までの経過措置となっていた7地域の経過措置を2019年度末まで延長することになった。
 2018年度診療報酬改定では、20項目の附帯意見がついた。今回は、2025年とその先を見据えた大きな診療報酬改定であり、また、医療・介護同時改定であることから、改定の影響を検証する必要性が例年以上に高くなっている。また、診療側と支払側の委員が対立した改定項目については、当初の懸念が現実に生じていないかなどを確認することが求められている。
 大きく再編・統合した入院基本料などの見直しは、入院医療等分科会で調査・検証する。DPC評価分科会で議論する課題もある。附帯意見では、急性期一般入院基本料、地域一般入院基本料、療養病棟入院基本料等(救急医療に関する評価を含む)の在宅復帰・病床機能連携率、「重症度、医療・看護必要度」、医療区分、リハビリテーションの実績指数等の指標および看護職員の配置状況などを、調査・検証する項目として明記している。
 また、「入院医療機能のより適切な評価指標や測定方法等、医療機能の分化・強化、連携の推進に資する評価のあり方を引き続き検討」との文言もあり、入院医療の評価指標の検討が今後行われる予定だ。
 全日病会長の猪口雄二委員は、「非常に幅広く大きな改定が行われた。『重症度、医療・看護必要度』や救急医療に関して、今後重要な議論が行われる。しっかりと議論していくために、調査の結果などが出たら逐次総会に提供してほしい」と要望した。厚生労働省は前向きに検討する意向を示した。
 個別項目の多くは、検証部会で調査・検証が行われる。「外来医療、在宅医療、かかりつけ医機能」の項目では、紹介状なし大病院受診の定額負担の対象病院の拡大やかかりつけ医機能のある医療機関に対する新たな初診の評価、地域包括診療料の要件見直しなどがテーマとなる。そのほか、◇医薬品の適正使用◇オンライン診療料等◇医療従事者の負担軽減、働き方改革◇歯科診療報酬◇調剤報酬◇後発品の使用促進─などの項目が並ぶ。
 支払側の強い要望で、「明細書の無料発行」や「ニコチン依存症管理料」の調査・検証も実施される。また、薬価制度の抜本改革や費用対効果評価の仕組みの試行的導入も薬価専門部会などそれぞれの専門部会で議論される。

全国7地域の地域加算を当面維持
 地域加算は、医業経費の地域差に配慮する観点で設けられている。人事院規則で定める地域とそれに準じる地域を対象に、入院基本料などの加算として、地域区分の級地に応じて点数に差がある。加算は1級地が18点、2級地が15点、3級地が14点、4級地が11点、5級地が9点、6級地が5点、7級地が3点である。このうち、7級地は時限的な措置となっている。
 人事院規則の見直しで、国の官署の廃止などに伴い、全国7地域の国家公務員の地域手当の地域区分がなくなった。これを受けて、2016年度改定では7地域を7級地とした上で、2017年度末までの2年間の経過措置を設けた。7地域は、神奈川県山北町、大井町、岐阜県海津市、愛知県稲沢市、奈良県安堵町、河合町、福岡県篠栗町。
 7級地は、2018年度以降は廃止される予定だったが、年度を過ぎて、「賃金や物価水準が変わったわけではないので、地域加算の趣旨を考えれば、経過措置の延長が必要」との意見があり、対応を図ることになった。
 中医協としては延長を了承したが、委員からは国家公務員の地域手当の地域区分を準用していることの不合理を指摘する意見があり、次期改定に向けて、見直しを求める意見もあった。
 同様の準用は医療保険だけでなく、介護保険などでも用いている。それぞれの制度で地域区分の考え方や取扱いは異なっており、厚労省は慎重な検討が必要との認識を示した。

 

全日病ニュース2018年5月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 中医協・総会> 次期改定に向け2016年度改定の附帯意見を整理

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20160601/news03.html

    2016年6月1日 ... 中医協総会(田辺国昭会長)は4月27日に、2016年度診療報酬改定の答申に
    盛り込まれた附帯意見に対応する ... 滞在手術基本料◇総合入院体制加算◇救急医療
    管理加算等◇経腸栄養製品の見直しの影響などが調査対象となっている。

  • [2] 重症度係数で議論 効率性評価との関係めぐり疑問も|第873回/2016 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20160615/news04.html

    2016年6月15日 ... 重症度係数で議論 効率性評価との関係めぐり疑問も|第873回/2016年6月15日号
    HTML版。21世紀の医療を ... 中医協診療報酬調査専門組織のDPC 評価分科会(分科
    会長・小山信彌東邦大学医学部特任教授)は2016年度診療報酬 ... 厚労省は4月13日
    中医協総会に示した2016年度改定におけるDPC 見直しへの対応結果を同分科会に
    あらためて ... 点数(ただし救急入院の患者については救急医療指数で評価される2日
    目までの点数は除外)」と、乖離率から指数を算定して係数化される。

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