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ホーム全日病ニュース(2018年)第917回/2018年5月15日号医療法・医師法改正案の審議始まる...

医療法・医師法改正案の審議始まる

医療法・医師法改正案の審議始まる

【参院厚労委】加藤大臣や武田医政局長が趣旨を説明

 医師偏在対策などを盛り込んだ「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」の国会審議がスタートした。
 同法案は衆議院より参議院で先に審議する参院先議。4月17日に、参議院厚生労働委員会で審議入りした。同日は加藤勝信厚生労働大臣が趣旨説明を行い、同19日からは本格的な審議が始まった。

 加藤大臣が法案の早期可決求める
 4月17日に趣旨説明を行った加藤厚生労働大臣は、医師数が増加する一方で地域間や診療科間の医師の偏在は解消に至っていないため、患者の医療アクセスの向上や医師の勤務負担の軽減等の観点から、実効性のある医師偏在対策が早急に求められていることを指摘した。
 その上で、「医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設、都道府県における医師確保対策の実施体制の整備や医師養成過程を通じた医師確保対策の充実等を通じて、医師偏在の解消等を図り、地域における医療提供体制を確保する」と述べ、同委員会に法案の早期可決を求めた。

 医師少数区域勤務の認定医制度
 4月19日の委員会審議では、医師少数区域で勤務した医師を認定する制度や認定医が一定の医療機関の管理者となる仕組みなど、法案のポイントについて質疑応答を行った。
 医師少数区域で勤務した医師を認定する仕組みについて、厚労省の武田俊彦医政局長は、「医師少数区域は、医療ニーズや人口構成、患者の流出入等を踏まえて2次医療圏ごとに設定した医師偏在指標をもとに、医師が少ないと認められる2次医療圏を省令で定める基準に従い、各都道府県が設定する仕組みを考えている。医師偏在指標や医師少数区域の設定など、詳細な制度設計については法案成立後速やかに公開の場で議論を開始する」と述べた。
 スケジュールについては、「2018年度中を目途に結論を得て、医師確保計画の策定方法を明らかにしていく。2019年度中に、都道府県が医師少数区域を設定する予定」と答弁した。
 医師偏在指標について武田局長は、「現在の医師の指標は人口10万対の医師数が一般的に用いられているが、医療ニーズや人口構成、患者の流出入が加味されていない。医師少数区域・多数区域を定めるときの指標は、医療ニーズ、人口構成、患者の流出入などの要素も踏まえて地域ごとの医師の偏在状況をより正確に把握・比較し、各都道府県がPDCAサイクルに基づいて取組みを行っていくことができる、いわば物差しとなる指標を導入する必要がある。このため、今回の法改正にあわせて医療ニーズ等の要素も踏まえ、地域ごと、さらに産科・小児科などの診療科ごとに医師の多寡を示し、可視化していく指標を導入したい」と述べた。
 認定医が一定の医療機関の管理者となる仕組みについて武田局長は、「認定医を管理者として評価する医療機関の範囲は、医師需給分科会の議論を踏まえ、まずは地域医療機関と連携しながら地域医療を支える地域医療支援病院のうち、医師派遣環境整備機能を持つ病院を対象とする方向で検討する」と述べた。
 ただし、例外的なケースへの対応として、「施行直後の認定医師が十分に存在しないで管理者の変更が必要になる場合、管理者が急に不在となって後継者が認定医師を取得していない場合、当該病院に認定医師以外のふさわしい医師がいる場合など、個別の事情を抱えるケースも想定される。このため、こうした場合も含め地域医療の確保に影響が生じる場合には認定を受けていない医師も管理者になることができるよう、条文に但し書きを設けて必要な配慮を行う」との考えを示した。

 

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