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病床機能報告見直しに向けた議論の整理を了承

病床機能報告見直しに向けた議論の整理を了承

【厚労省・地域医療構想WG】調整会議の活発な議論促す

 厚生労働省の「地域医療構想調整会議に関するワーキンググループ」(尾形裕也座長)は6月15日、地域医療構想調整会議を活性化させる方策とともに、「平成30年度病床機能報告の見直しに向けた議論の整理」を大筋で了承した。
 地域医療構想については、骨太方針2017で「個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年間程度で集中的な検討を促進する」と明記し、構想区域ごとの地域医療構想調整会議での議論の活発化を進めている。
 一方、具体的対応方針で合意した病院をみると、公立病院は823病院中38病院(4.6%)、公的病院で834病院中70病院(8.4%)、その他民間など9病院に過ぎない。調整会議の開催状況は都道府県でばらつきがあり、ほとんど議論が進んでいない都道府県もある。
 5月21日の経済財政諮問会議で安倍首相は、「地域医療構想の着実な実現には30年度が非常に重要な年になる」、「今年秋を目途に、全国の対応方針の策定状況を中間報告してもらい、先進事例を横展開するなど、今年度中の対応方針の策定を後押ししたい」と発言。厚労省に実効的な推進方策を求めた。
 これを受けて厚労省は、調整会議の活性化を提案し、前回のWGでも了承している。その一つに、都道府県単位の調整会議の設置があるが、今回その役割を整理した。現在、都道府県単位で調整会議を設置しているのは20県。そのうち、全構想区域の議長が参加しているのは佐賀と高知の2県となっている。参加者や協議事項には違いがあり、医療計画全体の議論を行う既存の会議体を活用している場合もある。
 厚労省は、都道府県単位の調整会議の役割を「調整会議での議論が円滑に進むよう支援すること」とし、協議事項に、◇再編統合の議論の確認◇参考事例・定量的な基準の共有◇広域での調整が必要な事項─などをあげた。参加者は各調整会議の議長や病院団体、医療保険者などを例示している。全日病副会長の織田正道委員は、「都道府県単位の調整会議は全体の方向性を確認するのが役割であり、地域の課題は調整会議で決めるのが基本であるべき」と述べた。
 また、病床機能報告制度で、医療機関が2025年の病床機能の予定を報告することを義務化することを決めた。現状では現在の機能と6年後の機能を報告することが必要で、2025年の機能の報告は任意だった。任意報告では、約5割の医療機関で状況を把握している。報告事項の変更を省令改正する。

 回復期病床をどう把握するか議論
 同日のWGで、「平成30年度病床機能報告の見直しに向けた議論の整理」をまとめた。病床機能報告制度は、医療機関が高度急性期、急性期、回復期、慢性期の医療機能の中で、主に担っている機能を病棟単位で報告するものだ。ただ実際の病棟には、様々な病期の患者が入院していることから、最も多くの割合を占める病期の患者に提供する医療機能を報告することになる。
 このため将来の医療機能を病床単位で計算している病床の必要量とは「ずれ」が生じる。都道府県によっては、病床機能報告制度の数字と病床の必要量の数字を単純に比較し、回復期機能を担う病床が各構想区域で大幅に不足するという誤解が生じる結果となっている。このような状況を踏まえ、「議論の整理」では、「定量的な基準の導入を含めて病床機能報告の改善を図る必要がある」と明記した。
 医療機関が適切に病床機能を報告するため、「議論の整理」では、佐賀と埼玉の事例を参考とすることを促した。佐賀では、急性期と報告している病棟でも、地域包括ケア入院管理料を算定している病床や、回復期への転換が確実な病床は、将来の回復期の過不足を判断する際に、回復期とみなしている。さらに、平均在棟日数が22日超の患者の病床も、将来の回復期の見込みを判断する際の参考情報とする。
 織田委員は、「病床機能報告制度で、例えば、急性期と報告する場合は、あわせて『うち回復期相当のベッドが○割程度』と報告すれば病床の必要量とのずれを補正できる」と提案した。しかし、これに対して、日本医師会の委員が「病床機能報告と病床の必要量は、そもそも比較すべきでない、定量的な基準につながることになり、反対する」と述べた。
 同委員は、「定量的な基準が先にあるのではなく、議論を繰り返し、地域で関係者が納得するプロセスが重要だ」と強調した。「議論の整理」では「先行している県では、協議を経て、関係者の理解を得られた定量的な基準を作成している点が重要」と指摘している。

 

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