全日病ニュース

地域一般入院基本料（地域包括ケア病棟入院料・回復期リハビリテーション病棟入院料）

【診療報酬改定シリーズ　2018年度改定への対応③】医療保険・診療報酬委員会　委員　福井聡

　第３回として、主に回復期領域、地域一般入院料、地域包括ケア、回復期リハ病棟入院料に焦点を当て述べていく。この領域では主に看護配置基準が13対１から15対１を中心に構成されており、全病床区分からの設置割合はやや不足となっている領域である。前回の急性期入院料の項でも述べられているが、今後急性期病床からの移行先として地域包括ケア入院料や回復期リハ入院料を選択肢の１つとして検討している医療機関も多いのではないだろうか。
　今回の改定では地域一般入院基本料として13対１と15対１が統合され３区分、地域包括ケアは入院料、管理料共に４区分の計８区分、回復期リハは６区分の合計17区分に編成、細分化された。地域包括ケア入院料と回復期リハ入院料は基本部分と実績部分の評価が加わり、共に改定前の２倍に基準数が増えたことになる。

　地域包括ケアに高い基準を設定
　地域包括ケア入院料の今回のポイントとしては改定前からある基準に加え、より高い基準が設定された。自宅等から入棟した患者の割合が１割以上、自宅等からの緊急入院が３か月で３人以上、在宅医療の提供や看取りに対する指針などが要件であるが、この基準をクリアできると2,738点となり、以前の一番高い基準と比較すると１日180点の増点となる。
　これは50床１病棟で年間収益に換算すると3,200万円程度の増収となり、十分に取り組む価値のあるインパクトがあるのではないだろうか。ただし、この基準の届出ができるのは200床未満（医療資源の少ない地域は240床未満）となっている。また、在宅復帰率7割に変更はないものの、療養病棟、強化型老人保健施設等が除外された一方、介護医療院が加えられていることも注意が必要である。

　回復期リハはデータ提出が要件に
　回復期リハビリテーション病棟入院料のポイントは、地域包括ケア病棟同様に実績指数として高い基準が設定されたことである。一番高い基準である１はFIM37以上、基準３と５は30以上となり、これにより充実加算は廃止された。また、基準1については管理栄養士の専任１名以上の常勤配置が望ましいなどの要件も加えられている。在宅復帰率は下位基準の２つを除き７割に統一され、またデータ提出加算も要件となった。下位２区分の基準でも200床以上の医療機関ではデータ提出の要件が求められており、より多くの病床でデータ提出が必要となるだろう。
　雑駁ではあるが、大まかに括ると、以上がこの領域の施設基準である。冒頭に述べたように多くの施設基準が存在するが、今後病床再編が加速すると、急性期からの移行病床が増え、ますます競争が激化する可能性がある。これから自院でどの基準を選定するか悩むこともあろうと思われるが、そうした状況の中でも地域で必要とされ、比較的不足している基準を選択することにより、稼働率が向上し、地域連携が活発化し収益面でも良い結果がもたらされるのではないだろうか。