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高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施

【厚労省・医療保険部会】新たに有識者会議を設置

　社会保障審議会・医療保険部会（遠藤久夫部会長）は７月19日、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施を検討する有識者会議を設置することを了承した。有識者会議は保健事業・介護予防の研究者のほか、保険者団体や四師会などの代表で構成する。介護保険部会も同26日に了承した。
　加藤勝信厚生労働大臣は、４月の経済財政諮問会議で、健康寿命の延伸に向けた取組みとして、「口腔、運動、栄養等のフレイル対策を含む介護予防と生活習慣病等の疾病予防・重症化予防を一体的に実施する枠組みの構築」を目指す介護予防と保健事業の一体的実施を提案していた。
　６月に閣議決定した骨太方針2018では、予防・健康づくりの推進として、「高齢者の通いの場を中心とした介護予防・フレイル対策や生活習慣病等の疾病予防・重症化予防、就労・社会参加支援を都道府県等と連携しつつ、市町村が一体的に実施する仕組みを検討する」ことが盛り込まれた。
　ただ、高齢者に対する生活習慣病対策・フレイル対策は医療保険、介護予防は介護保険という棲み分けがあり、制度ごとの実施となっている。加えて、医療保険の保健事業については、75歳を境として、保険・国民健康保険から、後期高齢者医療制度に移行するため、保険者により、事業内容が異なる。
　さらに、後期高齢者医療制度の保険者である後期高齢者医療広域連合は、都道府県ごとの管内の全市町村で構成する特別地方公共団体だが、職員は市町村等からの派遣であり、専門職の配置が困難となっている。こうした組織の特性から、保健事業の体制整備には、限界があると指摘されている。
　一方、法律上の位置づけとして、市町村の行う介護予防は介護保険法で義務づけられている。しかし、広域連合が行うフレイル対策は、高齢者医療確保法の努力義務となっている。このため、事業を実施している広域連合は2017年度で32、事業実施市町村は66にとどまっている。
　こうした現状を踏まえ、厚労省は高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施について、制度的・実務的な論点を整理するため、有識者会議を設けて検討することを提案した。保険者代表や医師会代表からは、賛成する意見があがった。
　有識者会議は今後、一体的実施のあり方について、市町村や広域連合など保険者間の役割分担とともに、財源や計画など事業内容を検討する。初会合以降、月１回程度開催し、年内にまとめる。検討結果は医療保険部会と介護保険部会に報告し、両部会で議論する。

　後期高齢者の窓口負担引上げに賛否
　医療保険部会は同日、骨太方針2018、未来投資戦略2018、規制改革実施計画に盛り込まれた医療保険制度改革の項目も議論した。
　後期高齢者の窓口負担の引上げについて、保険者団体代表からは早期に実施すべきとの意見が出る一方、高齢者団体の代表からは慎重な対応を求める声があがった。
　一方、厚労省の医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議の「議論の整理」の報告を受け、了承した。有識者会議は今秋にも報告書をまとめ、医療保険部会に報告する方針。議論の整理は、NDB と介護DBの連結解析に当たっての、データの収集・利用目的、対象範囲、第三者提供、実施体制、費用負担などで今後の方向性を示している。